いよいよ今年最初の「中銀ウィーク」が始まります。2月1日のFRBに続き、2日にはECB、さらにはBOEと続き、週末には米国の1月の雇用統計もあります。3中銀はいずれも「追加利上げを決める」ことを見込まれていますが、焦点はその上げ幅ということになります。
FRBの金融政策については、0.25ポイントの利上げでまず間違いないと思われますが、ECBは0.5ポイントかと思いますが0.75ポイントの可能性も残っています。ラガルドECB総裁は昨年12月、高騰する物価抑制のため大幅な利上げ継続が必要であることを、投資家は過小評価していると、強く警告していました。また、今月スイスのダボスで行われた「世界経済フォーラム」(ダボス会議)年次総会のパネル・ディスカッションでも、「路線継続は金融政策についての私の信念だ」と語っていたこともあり、大幅利上げの可能性も排除できません。ただ常に先読みする市場は、年末までに「利下げ」があるだろうと読んでいることが、債券市場の動きからは示唆されており、0.75ポイントの利上げがあれば、「サプライズ」と受け止められるでしょう。BOEも0.5ポイントの利上げの可能が高いと見られます。インフレ率は2カ月連続で鈍化しており、利上げ打ちどめ観測もあるようですが、イギリスのハント財務相は、インフレ率が年内に5%を下回る水準まで低下するのは難しいとの見通しを示しており、0.5ポイントの利上げに落ち着きそうです。ただ、米国ほど顕著ではないとしても、ユーロ圏、イギリスのインフレ率の鈍化傾向は定着しそうな気配で、今後その傾向がはっきりしてくれば、先週カナダ中銀が示したような、今後しばらくは利上げは停止し、その効果を見極めるスタンスに移行することもありそうです。
1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は「18.5万人」と予想され、12月の「22.3万人」からは大幅に減少すると予想されています。仮に予想通りだとすれば、2021年1月の「16.6万人」以来の低水準ということとなり、昨年3月に金融引き締めに政策変更に転じて以来、何度も期待(?)を裏切られてきた労働市場にも、いよいよ景気抑制を意図した金融政策の効果が出始めたと言えるようです。もっとも、直近の週間失業保険申請件数はその前の週から6000件減少の「18.6万件」でした。これは昨年4月以来、9カ月ぶりの低水準で、減少は2週連続となります。人手不足が依然として続いていること示唆しており、雇用者についても好調な数字が発表される可能性もあります。景気抑制的な政策に舵を切り直して以来、住宅関連指標など、多くの指標でその効果が出ていますが、最後の砦である「労働市場」がその政策に抗っています。今回の数字が下振れするようなら、株が上昇し、債券も買われ、ドル円は大きく売られることになりそうです。もちろんそれは結果次第ですが、127円台前半〜130円台のレンジ相場がどちらかに抜けるきっかけにもなる可能性があります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。