今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
1月30日 〜 2月5日
ドル/円
126.00〜132.00
ユーロ/円
136.00〜142.00
豪ドル/円
89.00〜93.00

いよいよ今年最初の「中銀ウィーク」が始まります。2月1日のFRBに続き、2日にはECB、さらにはBOEと続き、週末には米国の1月の雇用統計もあります。3中銀はいずれも「追加利上げを決める」ことを見込まれていますが、焦点はその上げ幅ということになります。

FRBの金融政策については、0.25ポイントの利上げでまず間違いないと思われますが、ECBは0.5ポイントかと思いますが0.75ポイントの可能性も残っています。ラガルドECB総裁は昨年12月、高騰する物価抑制のため大幅な利上げ継続が必要であることを、投資家は過小評価していると、強く警告していました。また、今月スイスのダボスで行われた「世界経済フォーラム」(ダボス会議)年次総会のパネル・ディスカッションでも、「路線継続は金融政策についての私の信念だ」と語っていたこともあり、大幅利上げの可能性も排除できません。ただ常に先読みする市場は、年末までに「利下げ」があるだろうと読んでいることが、債券市場の動きからは示唆されており、0.75ポイントの利上げがあれば、「サプライズ」と受け止められるでしょう。BOEも0.5ポイントの利上げの可能が高いと見られます。インフレ率は2カ月連続で鈍化しており、利上げ打ちどめ観測もあるようですが、イギリスのハント財務相は、インフレ率が年内に5%を下回る水準まで低下するのは難しいとの見通しを示しており、0.5ポイントの利上げに落ち着きそうです。ただ、米国ほど顕著ではないとしても、ユーロ圏、イギリスのインフレ率の鈍化傾向は定着しそうな気配で、今後その傾向がはっきりしてくれば、先週カナダ中銀が示したような、今後しばらくは利上げは停止し、その効果を見極めるスタンスに移行することもありそうです。

1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は「18.5万人」と予想され、12月の「22.3万人」からは大幅に減少すると予想されています。仮に予想通りだとすれば、2021年1月の「16.6万人」以来の低水準ということとなり、昨年3月に金融引き締めに政策変更に転じて以来、何度も期待(?)を裏切られてきた労働市場にも、いよいよ景気抑制を意図した金融政策の効果が出始めたと言えるようです。もっとも、直近の週間失業保険申請件数はその前の週から6000件減少の「18.6万件」でした。これは昨年4月以来、9カ月ぶりの低水準で、減少は2週連続となります。人手不足が依然として続いていること示唆しており、雇用者についても好調な数字が発表される可能性もあります。景気抑制的な政策に舵を切り直して以来、住宅関連指標など、多くの指標でその効果が出ていますが、最後の砦である「労働市場」がその政策に抗っています。今回の数字が下振れするようなら、株が上昇し、債券も買われ、ドル円は大きく売られることになりそうです。もちろんそれは結果次第ですが、127円台前半〜130円台のレンジ相場がどちらかに抜けるきっかけにもなる可能性があります。

今週の注目材料

  • 1/30(月)
    欧 ユーロ圏1月消費者信頼感(確定値)
    欧 ユーロ圏1月景況感指数
  • 1/31(火)
    豪 豪12月小売売上高
    日 12月失業率
    日 12月鉱工業生産
    中 1月中国製造業PMI
    中 1月中国非製造業PMI
    中 12月中国工業利益
    新 IMF、世界経済見通し(WEO)、(シンガポール)
    独 独1月雇用統計
    独 独10−12月期GDP(速報値)
    独 独1月消費者物価指数(速報値)
    欧 ユーロ圏10−12月期GDP(速報値)
    英 英12月消費者信用残高
    米 10−12月雇用コスト指数
    米 11月ケース・シラ−住宅価格指数
    米 1月シカゴ購買部協会景気指数
    米 11月FHFA住宅価格指数
    米 1月コンファレンスボード消費者信頼感指数
    米 企業決算 → UPS、GM、キャタピラー
  • 2/1(水)
    中 1月財新製造業PMI
    欧 ユーロ圏1月消費者物価指数(速報値)
    欧 ユーロ圏1月失業率
    欧 ユーロ圏1月製造業PMI(改定値)
    米 1月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
    米 1月消費者物価指数
    米 1月ADP雇用者数
    米 1月ISM製造業景況指数
    米 1月自動車販売台数
    米 FOMC 政策金利発表
    米 パウエル議長記者会見
  • 2/2(木)
    欧 ECB政策金利発表
    欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
    英 BOE金融政策発表
    英 BOE金融政策委員会(MPC)議事録
    米 新規失業保険申請件数
    米 12月製造業受注
    米 企業決算 → アップル、アマゾン、スターバックス、アルファベット、クアルコム
    加 カナダ12月住宅着工件数
  • 2/3(金)
    中   1月財新サービスPMI
    中   1月財新コンポジットPM
    トルコ トルコ1月消費者物価指数
    欧   ユーロ圏12月卸売物価指数
    欧   ユーロ圏1月サービス業PMI(改定値)
    欧   ユーロ圏1月総合PMI(改定値)
    米   1月雇用統計
    米   1月ISM非製造業景況指数
    米   1月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
    米   1月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)
  • 2/4(土)
  • 2/5(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。