今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
3月6日 〜 3月12日
ドル/円
134.00〜138.00
ユーロ/円
141.00〜146.00
豪ドル/円
91.00〜94.00

米国の予想を超える景気の強さに、ドル円は先週137円台まで上昇しました。米長期金利の上昇がドルを押し上げたと見ていいと思いますが、その長期金利は昨年10月以来となる4.09%近辺まで上昇しました。ドル円と米金利との相関関係は1月と比較するとやや相関度が低下してはいますが、金利が上昇するとドルが買われる構図は、程度の差はあるものの、基本的には変っていません。そう考えると、重要なのは3月21−22日に開催されるFOMC会合で、0.25ポイントの利上げになるのか、あるいは0.5ポイントになるのかという点で、これが今後の相場の動きに大きな影響を持つことになります。現時点ではどちらかと言えば、「0.25」の可能性が高いと考えてはいますが、FOMCメンバーの発言がタカ派寄りになってきたことから、0.5ポイント利上げを予想する向きが増えているのが実情です。

明日(7日)から2日間にわたって、パウエル議長が半年に一度の議会証言を行います。次回FOMC会合までの間、「講演」など、議長の発言機会は予定されていないとされているため、議長が足元の良好な経済指標についてどのような認識を示すのかを知る、FOMC前最後の機会となります。非常に注目されると同時に、利上げ幅の予想にも影響を与えるかもしれません。議長自身これまでにも、「勝利宣言をするには時期尚早だ」とか、「まだやるべきことは多く残っている」などと述べていることから、予想される発言は、市場に過度に楽観的な見方を与えないよう慎重な言葉を選ぶと思われます。「労働市場を中心に米景気は想定以上に力強い」といったニュアンスとなり、「そのため今後も必要ならさらなる利上げを行う用意がある」といった内容を想定していますが、どうでしょう。

また今週は10日(金)には日銀金融政策決定会合もあります。言うまでもなく、4月8日に任期を終える黒田総裁にとって「最後の決定会合」になります。市場では「YCCなどの修正を決定し、植田新総裁にビッグプレゼントを行うのではないか」といった観測もあるようですが、その可能性は低いと思います。先の国会での「所信聴取」でも、植田氏は市場が想定するよりもハト派的な発言を行い、現行の政策を評価する発言も行っています。そう考えると、敢えて黒田総裁がこの段階で政策修正に踏み切る理由は見当たらないように思われます。ただそうは言っても、黒田総裁の会見次第では為替が動く可能性はあります。注意が必要です。そしてこの日の夜には「2月の雇用統計」が発表されます。1月の非農業部門雇用者数は市場予想の2倍を超える「51.7万人」と、大きなサプライズでした。今回の予想は「21.5万人」と、それでも20万人を超える予想になっています。余程予想を下回らない限り、ドル売り材料にはなりにくいと見ていますが、ここでもサプライズがあるかもしれません。そもそも「速報値」であるため、市場予想から大きく乖離するのは「日常茶飯事」です。今週も「ドル円は動く」と心しておく方がいいのでしょう。

今週の注目材料

  • 3/6(月)
    欧 ユーロ圏1月小売売上高
    米 1月製造業受注
    米 フィンランド大統領、訪米(10日まで)
  • 3/7(火)
    豪 豪1月貿易収支
    豪 RBA、キャッシュターゲット
    中 中国 2月貿易収支
    中 中国2月外貨準備高
    独 独1月製造業新規受注
    欧 ECB消費者予想調査
    米 1月消費者信用残高
    米 パウエル・FRB議長、上院委員会で証言
  • 3/8(水)
    日 1月貿易収支
    日 1月国際収支
    日 1月景気先行指数(CI)(速報値)
    日 2月景気ウオッチャー調査
    独 独1月小売売上高
    独 独1月鉱工業生産
    欧 ユーロ圏10−12月期GDP(確定値)
    欧 ラガルド・ECB総裁講演
    米 2月ADP雇用者数
    米 1月貿易収支
    米 1月求人件数
    米 パウエル・FRB議長、下院金融委員会で証言
    加 カナダ1月貿易収支
    加 カナダ中銀政策金利発表
  • 3/9(木)
    日 10−12月GDP(改定値)
    中 中国2月消費者物価指数
    中 中国2月生産者物価指数
    米 新規失業保険申請件数
    米 米大統領、予算教書
  • 3/10(金)
    日 日銀金融政策決定会合
    日 黒田日銀総裁記者会見
    独 独2月消費者物価指数(改定値)
    英 英1月鉱工業生産
    英 英1月貿易収支
    米 2月雇用統計
    米 2月財政収支
    米 フォンデアライエン欧州委員長、バイデン大統領を訪問
    加 カナダ2月失業率
  • 3/11(土)
  • 3/12(日)
    米 米夏時間開始
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。