今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
3月27日 〜 4月2日
ドル/円
127.00〜133.00
ユーロ/円
138.00〜143.00
豪ドル/円
85.00〜89.00

ドル円は下値を試す展開が続いていたものの、先週20日には130円64銭、23日には130円32銭、そして先週末の東京市場でも一時130円06銭までドル売りが進みましたが、130円割れは辛うじて回避していました。しかしその日の欧州市場では130円をしっかりと割り込み、129円65銭までドル売りが進みました。正確に言えば、「ドル売り」というよりも「円買い」が強まったと言った方が適切な状況です。先週は主要通貨の中でも、円が最も買われたことを見ても分かります。

ユーロ円は139円64銭、ポンド円は158円25銭、そして豪ドル円に至っては、約1年ぶりの安値となる、86円05銭前後まで売られました。リスク回避の円買いが強まった結果かと思われますが、「円全面高」の様相を見せています。本日の「今日のアナリストレポート」でも触れましたが、「円全面高」の背景は、金融システム不安が完全に払拭できないことから、ドルは買えないし、ユーロも買えないことが背景かと思われますが、加えて、4月には「植田日銀」体制がスタートすることで、夏場くらいまでには最低でもイールドカーブコントロール(YCC)の修正など、金融政策変更の可能性が高いことも挙げられます。言い換えれば、円金利の上昇が見込めることも円を買いやすくしている側面があります。米商品先物取引員会(CFTC)が公表した21日までの1週間の最新データによると、ヘッジファンドは円の売り越しポジションを9カ月ぶりの高水準まで増やしており、その後の円高でポジションを大幅に減らしたとみられます。明日28日(火)公表されるCFTCの数字を見れば、その答えがはっきりしてくると思います。ヘッジファンドは、ドル円の方向を読み違えていたのは明らかで、その巻き戻しやストップロスが130円割れにつながったと思われます。

3月のFOMC会合を終えたことで、今週はやや材料難になるかもしれませんが、株式市場を筆頭に、債券市場でも高いボラティリティーが続いていることから、為替市場でも荒っぽい値動きが続くと考え得ざるを得ません。恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」も危険水域の「20」を超えて、足下では「21.74」近辺で推移しています。経済指標では28日(火)発表の、3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数と31日(金)のPCEデータが注目されます。また、先週のFOMCでは足元のインフレ抑制を優先し、0.25ポイントの利上げを決定しました。「利上げ見送り」や、一部には「利下げ」観測もあったなか、敢えてインフレ対策を優先したことの背景、あるいは反対意見などがFOMCメンバーの講演から聞かれるかもしれません。あえて利上げを継続したこともあり、多くの発言は「インフレ率は依然高すぎる。今後状況によっては追加利上げの可能性もある」といったタカ派的な言葉が多く発せられると予想され、これらがドルを支える可能性もありますが、流れは「円買い」であると思います。円売りが再び優勢となるには、少なくとも米国発の金融システム不安が完全に払拭される必要があります。

今週の注目材料

  • 3/27(月)
    日 1月景気先行指数(CI)(改定値)
    中 馬英九・前台湾総統、中国訪問
    独 独3月ifo景況感指数
    欧 ユーロ圏2月マネーサプライ
    英 ベイリー・BOE総裁講演
  • 3/28(火)
    豪 豪2月小売売上高
    英 ベイリー・BOE総裁、シリコンバレー銀行(SVB)巡り証言
    米 1月FHFA住宅価格指数
    米 1月ケース・シラ−住宅価格指数
    米 3月リッチモンド連銀製造業景況指数
    米 3月コンファレンスボード消費者信頼感指数
  • 3/29(水)
    豪 豪2月消費者物価指数
    独 独4月GFK消費者信頼調査
    英 英2月消費者信用残高
    米 2月中古住宅販売成約件数
  • 3/30(木)
    独 独3月消費者物価指数(速報値)
    欧 ユーロ圏3月消費者信頼感(確定値)
    欧 ECB経済報告
    米 新規失業保険申請件数
    米 10−12月GDP(確定値)
    米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 3/31(金)
    日 2月失業率
    日 2月鉱工業生産
    中 3月中国製造業PMI
    中 3月中国サービス業PMI
    独 独3月雇用統計
    英 英10−12月期GDP(改定値)
    欧 ユーロ圏2月失業率
    欧 ユーロ圏3月消費者物価指数(速報値)
    欧 ラガルド・ECB総裁講演
    米 2月個人所得
    米 2月個人支出
    米 2月PCEデフレータ(前月比)
    米 2月PCEデフレータ(前年比)
    米 2月PCEコアデフレータ(前月比)
    米 2月PCEコアデフレータ(前年比)
    米 3月シカゴ購買部協会景気指数
    米 3月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 4/1(土)
  • 4/2(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。