ドル円の膠着状態が続いています。先週1週間を見ても、149円台半ばから150円台半ばと、ほぼ1円強の値動きしかなく、これまでの動きを考えると、ほぼ1日の値幅といった状況です。12月には「12%」まで上昇したドル円1カ月物のボラティリティーは足元では「7.5%」まで低下し、値幅の出ないドル円を示唆しています。市場参加者の多くが「次の材料」を待っています。もっとも、動かないドル円は「円キャリー」にとっては好都合で、ドルロングの投資家にとっては、為替リスクが小さく、スワップポイントが稼げる機会になっています。
来週8日(金)の「2月の雇用統計」まで大きな動きはないかもしれませんが、ここで終わらないのが、ここ数年のドル円の動きです。安心するのはまだ早いような気がします。1月の米消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)がともに市場予想を上回り、FRBによる利下げ時期が後ずれしていることでドルが買われ易い状況ですが、一方で上値も「150円台の後半が壁になりつつある」ようです。また、151円95銭の水準は2022年、23年にかけて3度もテストし、抜け切れない水準でもあり、当然高警戒感も出て来るところです。次の材料が待たれます。
来週の雇用統計の前に、今週29日(木曜日)には、1月のPCE個人消費支出が発表されます。PCEコア指数は前月比「0.4%」上昇と予想され、1年ぶりの大幅上昇になったと予想されています。物価上昇を抑えるための道のりの険しさが浮き彫りになるとともに、利下げを急がない姿勢を示すFRBメンバーの判断の正しさを裏付けることになりそうです。改めて、「ラストワンマイル」の厳しさが証明されそうです。仮に市場予想通りだったとして、ドル円が上記水準をテストするのかどうかは微妙なところです。多くの個人投資家は、ドルを買う姿勢を維持しているとしても、深追いするスタンスではないように思えます。ドルが下げたら買うといっても、その水準は現時点では148円台半ば辺りかと思われます。「押し目買いに、押し目なし」という格言があります。今のところ上記水準を付けるのは、そう簡単ではないと予想していますが、どうでしょう。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。