今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
3月4日 〜 3月10日
ドル/円
148.50〜151.50
ユーロ/円
160.00〜164.50
豪ドル/円
97.00〜99.00

日本の金融当局者による、政策変更のタイミングを巡る発言で上下に振らされているドル円ですが、それでも週明け月曜日は150円を挟む展開で、執筆時には150円15−20銭前後で推移しています。個人的には高田審議委員の発言が日本のインフレを取り巻く状況を適切に表現しており、植田総裁など、日銀執行部は前のめりになる市場をけん制する意味で、慎重な言い回しをしているのではないかと考えています。先週発表された1月の消費者物価指数(CPI)は、総合で「2.2%」、コアCPIも「2.0%」と、こちらは22カ月連続で日銀目標を上回る状況が続いています。マイナス金利解除など、日銀の現行政策の修正は4月25−26日の会合で決定されるといった予想は維持したいと思います。

本日の「アナリストレポート」でも触れましたが、ドル円はやや材料難の状態が続いており、148円台半ばから150円台後半の大枠レンジをどちらも抜け切れない状況です。特に、150円80−95銭では「壁」ができつつあり、ここが抜けるかどうかが、今後の相場を予想する上では重要になっています。もし抜けるようなら、何度も上値を抑えられていただけに、一気に151円台に乗せる可能性もあると予想しています。「壁」の外側にはストップロスのドル買いも控えていると思われるからです。一方ここを抜けずにズルズルと売られ、上記148円台半ばを下抜けするようだと、もう一段ドル安が進む可能性もありそうです。

今週は相場を動かす材料が控えています。6日(水)には、半期に一度の金融政策報告に関するパウエル議長の議会証言があります。ここで議長が利下げに関してどのような発言を行うのかが注目されます。議長を初めFRB高官のほぼ全員が「利下げ開始時期の決定には忍耐強く臨める」との見解を示しており、「利下げを急がない姿勢」を強調することも予想されます。1月のCPI、PPIはともに市場予想を上回り、PEC個人消費データも予想通りでしたが、依然として高水準でした。インフレが落ち着いてきたことは確認できるものの、今一歩下がり切れないインフレの現状を「まだやるべき仕事は残っている」と、アトランタ連銀のボスティック総裁はこのように表現していました。

8日(金)には毎月恒例の雇用統計が発表されます。2月の雇用統計では失業率が「3.7%」(前月は3.7%)、非農業部門雇用者数は「20万人の増加」(前月は35万3000人)と予想され、相変わらず好調な内容が見込まれています。引き続き労働市場と個人消費は好調さを維持していることから、インフレの再燃も考えられ、利下げを急がないスタンスは正当化されると思われます。今週はこの2つの材料が相場を動かすのではないかと予想しています。

今週の注目材料

  • 3/4(月)
    豪 豪1月住宅建設許可件数
    米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
    米 大統領選、共和党ノースダコタ州党員集会
  • 3/5(火)
    豪 豪10−12月期経常収支
    日 2月東京都区部消費者物価指数
    中 2月財新サービスPMI
    中 2月財新コンポジットPMI
    独 独1月サービス業PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏1月総合PMI(改定値)
    欧 ユーロ圏1月サービスPMI(改定値)
    欧 ユーロ圏1月卸売物価指数
    英 英2月小売売上高
    米 1月製造業受注
    米 1月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
    米 1月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
    米 2月ISM非製造業景況指数
    米 大統領選「スーパーチューズデー」
  • 3/6(水)
    豪 豪10−12月期GDP
    独 独1月貿易収支
    独 独1経常収支
    欧 ユーロ圏1月小売売上高
    米 2月ADP雇用者数
    米 1月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
    米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
    米 パウエル・FRB議長、下院金融委員会で証言
    米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、基調講演
    米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、米紙WSJの討論会に参加
    米 大統領選、民主党ハワイ州党員集会
    加 カナダ中銀政策金利発表
  • 3/7(木)
    豪 豪1月貿易収支
    日 中川日銀審議委員、島根県金融経済懇談会で講演
    中 中国2月貿易統計
    中 中国2月外貨準備高
    独 独1月製造業新規受注
    欧 ECB政策金利発表
    欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
    米 新規失業保険申請件数
    米 1月貿易収支
    米 1月消費者信用残高
    米 パウエル・FRB議長、上院銀行委員会で証言
    米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
    米 米大統領が一般教書演説
    加 カナダ1月住宅着工件数
    加 カナダ1月貿易収支
  • 3/8(金)
    日 1月国際収支・貿易収支
    日 2月景気先行指数(CI)(速報値)
    日 2月景気一致指数(CI)(速報値)
    独 独1月貿易収支
    独 独1月鉱工業生産
    独 独1月生産者物価指数
    欧 ユーロ圏10−12月期GDP(確定値)
    米 2月雇用統計
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、討論会に参加
    加 カナダ2月新規雇用者数
    加 カナダ2月失業率
  • 3/9(土)
    中 中国2月消費者物価指数
    中 中国2月生産者物価指数
  • 3/10(日)
    米 米夏時間開始
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。