今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
3月25日 〜 3月31日
ドル/円
147.50〜152.50
ユーロ/円
160.00〜166.50
豪ドル/円
97.50〜100.00

日米金融当局が金融政策の転換に踏み切れば、筆者も含め多くの市場関係者がドル円はある程度「ドル安円高」に振れると予想していました。それは円の金利が上昇しドルの金利が下がることで、足元のドル高の最大の要因である「日米金利差」が縮小すると見られるからです。しかし実際には円売り圧力は想定以上に強く、先週末の東京時間には151円86銭までドルは上昇し、2022年10月に記録したドルの直近最高値である151円96銭も視野に入ってきました。日銀は3月19日に開催された金融政策決定会合で17年ぶりに「マイナス金利解除」を決め、さらに長期金利の上限もコントロールする「イールドカーブコントロール」(YCC)の撤廃も決めました。ただ日銀の植田総裁はその後の会見で、「緩和的な金融環境は変わらない」と述べ、本来なら円金利が上昇するとの見方から今回の政策変更は「円買い材料」のはずでしたが、この会見を境に円が大きく売られました。

一方米国の方も、2月のインフレ指標である消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が市場予想を相次いで上回り、2月までは年4回のFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げを見込んでいた市場も、徐々に利下げ開始のタイミングが後ずれするとの見方に傾き、現時点では3回が見込まれています。そんな中、アトランタ連銀のボスティック総裁は22日、「インフレの軌道について昨年12月時点よりも確信がない。主要な数字の陰には厄介なことがいくつかある。今年の利下げは1回に留まると現時点では予想している」と、利下げにはかなり慎重な発言を行いました。今後雇用統計など、米景気の状況を見極める必要がありますが、日銀が余程極端な利上げを行わない限り、日米金利差が大幅に縮小する可能性は低いと見られ、ドルの支援材料になろうかと思います。財務省の神田財務官はドル円が再び151円台後半まで上昇したことを受け、25日には「明らかに投機的」と指摘し、円買い介入については「常に準備はできている」と口先介入を行っています。今後は政府・日銀による市場介入に対する警戒感が急速に増しますが、実弾を伴う介入が実施されるまでは、ドルが底堅い動きを続けると予想しています。

今週の注目材料

  • 3/25(月)
    日 日銀金融政策決定会合議事録(2013年7月−12月分)
    日 1月景気先行指数(CI)(改定値)
    日 1月景気一致指数(CI)(改定値)
    米 2月新築住宅販売件数
    米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 3/26(火)
    豪 豪3月ウエストパック消費者信頼感指数
    独 独4月GFK消費者信頼調査
    米 2月耐久財受注
    米 1月ケース・シラ−住宅価格指数
    米 1月FHFA住宅価格指数
    米 3月リッチモンド連銀製造業景況指数
    米 3月コンファレンスボード消費者信頼感指数
  • 3/27(水)
    豪 豪2月消費者物価指数
    日 田村日銀審議委員、青森県金融経済懇談会で講演
    欧 ユーロ圏3月消費者信頼感指数(確定値)
    欧 ユーロ圏3月景況感指数
  • 3/28(木)
    豪 豪2月小売売上高
    独 独3月雇用統計
    英 英10−12月期GDP(改定値)
    英 英10−12月期経常収支
    米 債券市場、短縮取引
    米 新規失業保険申請件数
    米 10−12月GDP(確定値)
    米 3月シカゴ購買部協会景気指数
    米 3月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
    米 2月中古住宅販売成約件数
  • 3/29(金)
    日 3月東京都区部消費者物価指数
    日 2月鉱工業生産
    米 2月個人所得
    米 2月個人支出
    米 2月PCEデフレータ(前月比)
    米 2月PCEデフレータ(前年比)    
    米 2月PCEコアデフレータ(前月比)
    米 2月PCEコアデフレータ(前年比)
    米 株式、債券市場休場(グッドフライデー)
  • 3/30(土)
  • 3/31(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。