ドル円は底堅い動きが続いています。先週水曜日には151円97銭を付け、およそ34年ぶりの円安水準を記録し、その後に政府から強めの円安けん制発言があり、上値は抑えられてはいるものの大きく値を下げる気配はありません。これでほぼ10日間、151円を上回る水準を維持しています。
やはり日米金利差が劇的に縮小する見込みは当面ないとの見方がドルの支えになっており、この水準からドルを買うのは怖い気もしますが、かといってショートを振るにも勇気が要ります。水準からすれば、いつ介入があってもおかしくはありませんが、その介入水準を巡って、4月1日付けの日経新聞朝刊では「円相場、急変なき介入警戒」と題した記事が掲載されています。「政府は変動幅より152円という水準を『防衛ライン』として重視しているといった思惑がある」と、報じています。それは、152円に限りなく近づいたものの、152円に達していないことや、鈴木財務大臣が「水準が問題ではなく、変化に注目している」と述べ、その上で、「具体的な防衛ラインはない」と発言したことを挙げています。ただ筆者は、個人的には152円を「防衛ライン」とは見ていません。152円という水準が非常に重要なのは分かりますが、仮にその水準が「防衛ライン」であれば、先週151円97銭までドルが買われた際にも介入がなかったのは理解できません。しかもその水準は東京時間内で示現しています。最も介入を実施しやすい状況でした。重要なのは、152円を越えて新値を付けるとドル買いが一気に膨らみ、水準を大きく変えるため、そこは防衛する必要が出て来るのではないかという点です。やはり円安が進む際のスピードが重要で、円売りが加速してしまうと、なかなか元の水準には戻りにくいということです。152〜154円のどこかでお化け(介入)は出て来るのではないかと予想しています。
今週も多くのFOMCメンバーによる発言が予定されています。「年内の利下げ回数は1回を予想する」と発言したアトランタ連銀のボスティック総裁にどれだけのメンバーが足並みを揃えた発言を行うのか、言い換えると、どこまでタカ派寄りの発言が出るのかといった点に注目しています。また、5日(金)には3月の雇用統計が発表されます。現時点での予想は、非農業部門雇用者数は「20万人」(2月は27.5万人)、失業率は「3.8%」(2月は3.9%)と見込まれています。2月の雇用統計でも「20万人」の増加予想に対して、「27.5万人」と、雇用者数は予想を大きく上回りましたが、平均賃金の伸びが鈍化していたことで、ドル円は最終的には売られています。果たして今回はどうでしょう・・・。152円を越えて行くのか、あるいは150円を下回って下落に転じるのか、注目です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。