今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
6月10日 〜 6月16日
ドル/円
155.00〜159.00
ユーロ/円
166.50〜172.00
豪ドル/円
102.00〜105.00

ドル円は先週末の米5月の雇用統計の結果を受けて大きく買われ、再び157円台までドル高が進みました。週明けの東京市場では朝方はドル売りに押され、やや下落しましたが、午後には前日のNY市場での高値を抜き、本稿執筆時時点では157円19銭まで小幅に続伸しています。米金利の上昇に素直に反応したわけですが、目先の焦点は160円台で大規模なドル売り介入で水準を切り下げられた後の戻り高値である、157円70−80銭の水準を上回ることが出来るかどうかという点です。この水準は現時点では戻りの目安とされ、やや壁になりつつあります。仮に、この水準を上回るようだと、再び政府・日銀の介入に対する警戒感が高まり、介入を誘い出すことになる可能性があります。

ドル円が再び160円台まで上昇する過程で、今回のドル高局面で3回目となる介入が実際にあるのかどうかが、今後の相場を見る上で非常に重要なポイントになります。介入があれば、「絶対に160円以上の円安は許容しない」といった財務省の強い意志を確認できる一方、介入がないとすれば、「やはり、米財務省が合意できない介入には、踏み切れない」として、円売りが加速する可能性もありそうです。予想外に強い米景気を背景に米金利の上昇が続き、ドル円は日米金利差に着目した「キャリートレード」の側面が大きく、いわば「ファンダメンタルズに沿った取引」だと言えなくもありません。要は、米国で景気抑制的な金融政策の効果が、労働市場と個人消費に明確に「傾向として表れて来る」まではドル高傾向は変わらないということのようです。個人投資家の動きを見ても、「ドルが下げたら買いたい」といった姿勢は変わらず、ドル安に転じるにはこれが、「ドルの戻りを売りたい」という風なセンチメントに変わることが必要です。

今週は日米の金融政策決定会合が開かれます。いずれも、政策金利の据え置きが予想されますが、注目されるのは中銀トップの会見での発言です。特にパウエル議長には、想定以上に強かった雇用統計の結果を受け、どのような発言を行うのか今後の金融政策を占う意味でも重要です。利下げには慎重ながらも、「利下げ開始までには、いま暫く辛抱が必要」といった、年内利下げ開始の可能性を残したコメントをするのではないかと予想しています。また、今回の会合では当局者が予想する金利予測(ドット・プロット)も発表されます。ブルームバーグの調査によると、エコノミストの41%が今回の「ドット・プロット」で「年内2回の利下げが示唆される」と予想していますが、一方で、同数のエコノミストは「利下げは1回だけ、もしくは全く行われない」と想定しています。仮に今回の雇用統計を受けて、「年内1回の利下げ」へと多くのメンバーがシフトするようだと、ドル円は再び上記介入水準を試すことになると思われます。

今週の注目材料

  • 6/10(月)
    日 4月国際収支・経常収支
    日 4月貿易統計
    日 1−3月GDP(改定値)
    日 5月景気ウオッチャー調査
    英 英5月消費者物価指数
    米 NY連銀1年インフ期待(5月)
  • 6/11(火)
    豪  豪5月NAB企業景況感指数
    中東 OPEC月報
    英  英5月失業率
    英  英ILO失業率(2−4月)
    加  カナダ4月住宅建設許可件数
  • 6/12(水)
    中 中国5月消費者物価指数
    中 中国5月生産者物価指数
    独 独5月消費者物価指数(改定値)
    英 英4月鉱工業生産
    英 英4月貿易収支
    米 5月消費者物価指数
    米 FOMC 政策金利発表
    米 パウエル議長記者会見
    米 5月財政収支
  • 6/13(木)
    豪 豪5月雇用統計
    欧 ユーロ圏4月鉱工業生産
    欧 G7首脳会談(伊プーリア州、15日まで)
    米 5月生産者物価指数
    米 新規失業保険申請件数
    米 ウィリアムズNY連銀総裁、イエレン財務長官と討論会
  • 6/14(金)
    日 日銀金融政策決定会合
    日 植田日銀総裁記者会見
    日 4月鉱工業生産(確定値)
    欧 ユーロ圏4月貿易収支
    欧 ラガルド・ECB総裁講演
    米 5月輸入物価指数
    米 5月輸出物価指数
    米 6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
    米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、座談会に参加
  • 6/15(土)
  • 6/16(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。