今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
6月24日 〜 6月30日
ドル/円
158.00〜162.00
ユーロ/円
166.00〜172.00
豪ドル/円
103.00〜107.00

ドル円は先週末のNYで159円87銭まで買われ、週明けの東京市場でも159円92銭まで小幅ながら続伸し、4月29日に政府・日銀が市場介入を実施した水準まで戻りつつあります。過去最大規模となる9兆8000億円もの巨額な「円買い・ドル売り」介入で、151円台まで押し戻されたドル円は、結局元の水準を回復する勢いです。160円台前半までに再度介入があれば話は別ですが、個人的には介入は難しいのでないかと考えていますが、もしそうだとすれば、今週中に160円台に乗せる可能性は高いと思います。神田財務官は「為替介入は24時間いつでも準備できるようにしている」と週明けの早い時間で「口先介入」を行ったため、ドル円はその後やや円買いが優勢となっています。水準を考えたら当然の動きで、輸出筋を中心にドル売り注文もそこそこ持ち込まれているようです。鈴木財務相も、「必要に応じて適切に対応する」と述べるにとどまり、足元の水準に対するコメントは控えるとしていました。

「今日のアナリストレポート」でも述べましたが、米インフレは[踊り場]に差しかかっており、ここから再燃するのかあるいは沈静に向かうのか、まさに正念場です。そのため、FRBによる年内の利下げ回数は1回との見方が優勢ですが、今後のデータ次第ではこれが2回にもなるし、ゼロにもなり得ます。FOMCメンバーの見方についても、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁のように、米金融当局はインフレ率を目標の2%へと引き下げることが出来るとしつつも、「それには1、2年かかる可能性が高い」と、タカ派寄りの発言を繰り返していますが、カシュカリ総裁以外は概ね「インフレの沈静化を確信するため、さらにデータが必要」とのスタンスに立っています。実際に発表されるデータでは、CPI以外でも強弱まちまちとなっており、予断は許しません。

仮に160円台に乗せ、介入が見られなかった場合には、ドル円はさらに上昇を加速させる可能性もあります。その場合、次のメドはどの水準を見ておけばいいのか、なかなか見つけにくい状況です。というのも、当社のチャートで過去の高値を探してみても、1995年7月までしか遡れず、160円を超える水準でメドとなるレートを探し切れません。筆者の手元にあるブルームバーグでは過去データが豊富で、それを探ると1986年6月に163円台後半のレートに辿り着き、目先はこの辺りが次の上値のメドと見ることが出来そうです。1986年は、前年9月に「プラザ合意」があり、ドルが急速に値を下げている途中で、ある意味懐かしいレートです。時の財務大臣は竹下登氏で日銀総裁は澄田智氏でした。NYのプラザホテルに日米英、それに独仏の財務相・中央銀行総裁が集まりドル高是正を議論した、極めて重要な歴史的会合でした。この会合がその後拡大し、「G7」へと発展してきました。

為替の動きと並んで今週は27日に行われる「米大統領選候補者、第一回テレビ討論」も注目されます。これまで両候補者はお互いに相手候補を非難してきましたが、今回は直接議論を戦わせることになります。今回の討論会では副大統領候補者も出席する模様ですが、会場には一般市民は入れないことになっています。

今週の注目材料

  • 6/24(月)
    独 独6月ifo景況感指数
    米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
  • 6/25(火)
    豪 豪6月ウエストパック消費者信頼感指数
    日 4月景気先行指数(CI)(改定値)
    日 4月景気一致指数(CI)(改定値)
    米 4月ケース・シラ−住宅価格指数
    米 4月FHFA住宅価格指数
    米 6月コンファレンスボード消費者信頼感指数
    米 6月リッチモンド連銀製造業景況指数
    米 クック・FRB理事講演
    米 ボウマン・FRB理事、基調講演
    加 カナダ5月消費者物価指数で発言
  • 6/26(水)
    豪 豪5月消費者物価指数
    独 独7月GFK消費者信頼調査
    米 5月新築住宅販売件数
  • 6/27(木)
    トルコ トルコ中銀政策金利発表
    独   独5月生産者物価指数
    欧   ユーロ圏6月消費者信頼感指数
    欧   ユーロ圏6月景況感指数
    米   新規失業保険申請件数
    米   1−3月GDP(確定値)
    米   5月耐久財受注
    米   5月中古住宅販売成約件数
    米   米大統領選候補者、第一回テレビ討論(ジョージア州アトランタ)
  • 6/28(金)
    日 6月東京都区部消費者物価指数
    日 5月失業率
    日 5月鉱工業生産
    独 独6月雇用統計
    英 英1−3月期GDP(改定値)
    英 英1−3月期経常収支
    米 5月個人所得
    米 5月個人支出
    米 5月PCEデフレータ(前月比)
    米 5月PCEデフレータ(前年比)
    米 5月PCEコアデフレータ(前月比)
    米 5月PCEコアデフレータ(前年比)
    米  月シカゴ購買部協会景気指数
    米  月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
    米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 6/29(土)
  • 6/30(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。