ドル円は先週大きくドルが売られ、一時151円94銭までドル安が進みました。基本的には、これまでの円売りの巻き戻しが大量に起き、対ドルだけではなく、対ユーロ、ポンド、豪ドルに対しても「キャリートレード」の解消が急激なドル安を生んだと思われます。ですから、まだ投機筋を始め多くの投資家がこれまでの「ネット円売り」から「ネット円買い」にポジションを180度ひっくり返したわけではありません。「ネット円買い」になるのかどうかは、今後数カ月のデータ次第だということです。筆者は、「今日のアナリストレポート」等で、今月の始めからドル下落を予想しており、その意味では今回は想定通りだったと言えますが、問題はこの先年後半の動きをどのように予想出来るのか、それが大きな課題になります。
ドル円は先週大きくドルが売られ、一時151円94銭までドル安が進みました。基本的には、これまでの円売りのそもそも何故ドルの下落を予想したのかと言えば、極めて単純で、「米経済指標で、労働市場にも下振れ結果が出て来た」というのが一番大きな要因でした。それまでも消費者マインドなど、下振れする指標は多かったものの、高金利政策を続けながらも労働市場が好調でしたが、その労働市場にもようやく、景気抑制的政策の効果が出始めてきたというのが大きな意味を持ち、今後のFRBの利下げを後押しすると考えたからです。さらに、テクニカル要因もドル下落予想にうって付けでした。詳しくは「今日のアナリストレポート」を参照願いたいと思いますが、最初に日足の「サポートライン」を下抜けした時から微妙な変化を見せており、次に日足の「雲の下限」を抜けばドル売りが加速すると予想できました。特に155円という節目は、割り込むとストップを巻き込む可能性もあると予想しましたが、下落スピードを見ると、おそらくその通りのオペレーションが行われたと想われます。
ドル円は先週大きくドルが売られ、一時151円94銭までドル安が進みました。基本的には、これまでの円売りのさて、ここからはカギとなるのが「米インフレ率の鈍化がこのまま続くのか」という点です。インフレが低下傾向を維持するのであれば、FRBは9月会合だけではなく、11月12月のどちらかにも追加利下げの可能性があります。その場合ドル円は150円を割り込む可能性は大きいと思われます。同時に、今週は日銀の動きも相場に大きな影響を与えそうです。ただ、ここは不確実な要素が多く、結果次第ではどちらにも動く可能性がありそうです。決定会合の後は、午後3時半から恒例の植田総裁による会見がありますが、植田氏が日銀総裁に就任 したのが、確か去年の4月からです。この間、10回の決定会合と記者会見をこなしてきましたが、全ての会見後に円が売られているのも注目したいと思います。マイナス金利解除とイールドカーブコントロール(YCC)の修正には極めて慎重だったことが背景かと思われますが、「基調的物価上昇に影響があるようなら、利上げも辞さない」といった姿勢を見せている今回はどうでしょうか・・・?
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。