今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
9月16日 〜 9月22日
ドル/円
138.00〜143.00
ユーロ/円
152.00〜159.00
豪ドル/円
93.00〜97.00

依然としてドルの上値は重い展開が続いている中、16日(月)は東京市場が祝日のため休場であったこともあり、150円、145円の節目を下抜けして来たドル円は、ついに140円台も抜いて来ました。139円58銭まで売られ、2023年7月以来となるドル安水準を記録しました。今年7月に記録した161円95円の高値からわずか2カ月半で、実に22円以上(13.8%)のドル安が進んだことになります。かなりのスピードでドルが売られたことが分かります。一時は25bpで固まりつつあった今週19日のFOMC会合での利下げ幅が、急速に50bpへと利下げ観測が修正されたことでドル売りが活発になりました。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が、FRB内部で50bpの利下げが検討されているといった情報や、ダドリー前NY連銀総裁が、50bpが適切と述べていることが50pb利下げ観測を再燃させた格好です。米債券市場でもこの観測を織り込む動きが強まり、16日時点では50bpの利下げが優勢となっています。筆者は「まだ五分五分」と見ていますが、先のジャクソンホールでの講演でパウエル議長は「労働市場の一段の冷え込みは歓迎しない」と発言していたこともあり、労働市場の減速が明確になったことを考慮すれば、50bpの利下げの可能性も十分あり得ます。ただ一方で市場はいつものように突っ込み過ぎており、「織り込み過ぎ」との声も増えてきています。

140円を一旦割り込んだドル円ですが、この先どこまで下げるのか予想もつきにくい状況です。個人的には135−140円のどこかでは下げ止まると予想したいところですが、正直まだ分かりません。一応フィボナッチ・リトリースメントを用いて確認してみると、今回のドルの上昇が2023年1月6日の「127円22銭」から始まったとすれば、上昇幅は34円73銭となり、上昇幅の「61.8%」が「140円49銭」になり、これは既に下抜けしていることから次の「76.4%」が、「135円42銭」と導き出されます。また上昇に転じた起点を2021年1月4日に置けば、上昇幅は「59円36銭」となり、こちらは「50%」の半値戻しが「139円27銭」と計算できます。現状では上記「139円27銭」が一つの目安とも見られますが、いずれにしても今回も含めて年内3回の会合でどの程度の幅で利下げを実行するのかが注目されます。今週の会合で一気に50bp引き下げ、市場に金融当局の積極的な利下げスタンスを明確に印象付け、後はデータを見ながら調整していくのか、あるいは25bpにとどめて置いて、次回からは大胆なスタンスで臨むといった戦略を取るのか、今週には結果が出ます。

今週の注目材料

  • 9/16(月)
    中 中国、中秋節(17日まで)
    欧 ユーロ圏7月貿易収支
    米 9月NY連銀製造業景況指数
  • 9/17(火)
    独 独9月ZEW景気期待指数
    米 8月小売売上高
    米 8月鉱工業生産
    米 8月設備稼働率
    米 9月NAHB住宅市場指数
    加 カナダ8月住宅着工件数
    加 カナダ8月消費者物価指数
  • 9/18(水)
    日 8月貿易統計
    欧 ユーロ圏8月消費者物価指数(改定値)
    英 英8月消費者物価指数
    米 8月住宅着工件数
    米 8月建設許可件数
    米 FOMC 政策金利発表
    米 パウエル議長記者会見
  • 9/19(木)
    豪   豪3月雇用統計
    トルコ トルコ中銀政策金利発表
    英   BOE金融政策発表
    英   BOE金融政策委員会(MPC)議事録
    米   経常収支(4−6月)
    米   9月フィラデルフィア連銀景況指数
    米   新規失業保険申請件数
    米   8月景気先行指標総合指数
    米   8月中古住宅販売件数
  • 9/20(金)
    日 日銀金融政策決定会合
    日 植田日銀総裁記者会見
    日 8月消費者物価指数
    独 独8月生産者物価指数
    欧 ユーロ圏9月消費者信頼感指数
    欧 ラガルド・ECB総裁講演
    英 英8月小売売上高
    加 カナダ7月小売売上高
  • 9/21(土)
  • 9/22(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。