為替相場も株式市場も今週は大きく下げて取引が始まっています。先週金曜日の午後3時頃まではドルが買われ、円安進行とともに日経平均株価も週末には高値引け。3万9800円台と、4万円の大台をうかがう水準まで上昇しました。
それが、石破氏が自民党総裁に選出されると一転して円が急騰し、東京市場が引けてからの海外先物市場では日経平均株価は2000円を超える下げで引けました。週明けの東京市場でもドル円は142円台前半から後半で推移していましたが、午後には141円台まで円高が進んでいます。日経も2000円ほど下げる場面もありました。利上げに反対し、景気浮揚への期待が大きかった高市氏ではなく、石破氏が自民党総裁、ひいては日本の顔としての首相に就任することが確実であることで円高、株安が強まっています。ただ、この反応はやや行き過ぎではないかと個人的には考えています。石破氏は、岸田政権の路線を踏襲すると見られ、29日のテレビ番組でも「必要なら補正予算を組むのは、当然だ」と発言しています。「石破総裁=市場にネガティブ」と想起するのは時期尚早かと思います。
146円台半ばまで反発したドル円は、再び141円台まで売られ、「二番底」を試す動きを見せています。139円台を付けたのが9月16日、それから2週間の期間を経て再び下落基調に転じてきました。今週は相場に影響を与える可能性のあるイベントも多く、場合によっては「2番底」ではなく、今年の「円の最高値」を更新する可能性もないとは言えません。先ずは、30日(月)にパウエル議長の講演があります。18日のFOMC会合では50bpという大幅な利下げを断行したにもかかわらず、その後の会見では「今回の決定を受けて、『これが新しいペースだ』とは誰も捉えるべきではない」とハト派寄りの発言を行いドルが反発しました。議長が、現在も同様な認識を持っているのかどうか、注目されます。またその後も、新規失業保険申請件数やISM製造業景況指数など、重要な指標があり、4日(金)には「9月の雇用統計」が発表されます。
いずれも、米景気の減速を示唆する結果が出れば、11月のFOMC会合での利下げ幅が50bpに拡大するとの観測が強まり、円高、株安に振れる可能性があります。もっとも、米国株は足元では再び最高値を更新する動きとなっており、「大幅利下げは株価にプラス」と受け止められれば、株価の上昇につながるかもしれません。それでも円高には弱い日経平均株価の方は下げる可能性があります。もちろん、強めの数字が出るようだと、ドル円が買われますが、その場合には「2番底」を付けるのではないかと思われます。引き続きボラティリティーの高い、荒っぽい動きが続きます。十分注意してください。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。