昨日27日(日)の衆院選において、「自公が過半数割れ」したことを材料に取引が始まった28日週明けでしたが、想定外の動きになっています。主因は、日経平均株価の急騰です。「自公過半数割れ」が決まり、政治的混乱から日経平均株価は大きく売られると予想しました。事実、取引開始前の日経先物は売られており、実際に取引が始まったら「現物株がどこまで売られるのか?」というのが、焦点の一つでした。
ところが取引が始まると、マイナスでは始まりましたが、直ぐにプラスに転じその後は見る見るうちに上昇幅が拡大し、前場では一時先週末比700円を超える大幅高を示現しました。ドル円もリスク選好の流れから大きく上昇し、こちらは一時153円87銭までドルが買われ、先週記録した153円19銭の戻り高値を大きく上回りました。予想されたシナリオは「株価が大きく下落し、リスク回避の円高が進行」といった予想と、もう一つは「株価が大きく売られ、『日本売り』のシナリオから円が売られる」というものでしたが、株高・円安という想定外の展開でした。自公が過半数を大きく割り込んだことで、石破首相は他の野党との連立を模索し始めることになります。
本日午後2時から記者会見に臨んだ石破首相は、「今回の敗戦を踏まえて、政治改革をさらに進め、政治資金の透明性を国民が分かるように改める」と述べ、これからの政権運営については、「今回大きく議席を伸ばした政党が、どのような政策が支持されたかを分析し、国民のために協力できる他の党ともやっていく」と、国民民主党を念頭に置いているような発言を行いました。これに先立ち、同党の玉木代表は、自民党との連立政権への参加を否定しながらも、「政策が一致すれば協力する意志がある」と述べていました。
この会見を境に日経平均株価は一段と上昇を加速させ、800円を超える上昇となっています。今回の衆院選では、選挙前から自民党の苦戦が予想されており、その通りであれば「選挙は買い」といった、株式市場のアノマリーが崩れると言われていましたが、結局アノマリーは今回も生きており、「選挙は買い」でした。
ドル円は153円後半まで上昇したことで、「週足」でもローソク足が「雲抜け」を完成させ、一段と上昇機運を高めています。ここまで来ると、いよいよ155円台が視野に入って来そうな気配です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。