今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
12月16日 〜 12月22日
ドル/円
150.00〜156.00
ユーロ/円
157.00〜163.00
豪ドル/円
96.50〜100.00

先週末のNYで153円80銭まで買われたドル円は、週明け東京時間でも上値を追い、153円97銭までドル高が進んでいます。日米金利差の拡大を手がかりに、ドルが連日買われ、日足チャートでは先週のローソク足は全て「陽線」を示しています。つまり、東京時間の寄り付きよりも、NYの引け値の方が高く、結局NY市場でドル高が進んでいることを表しています。強い経済指標の発表や米金利の上昇を手掛かりに、主にNY時間にドルが買われていることになります。

今週は今年最後の荒れ相場になる可能性があります。「今日のアナリストレポート」でも触れましたが、FRBによる25ベーシスポイントの利下げはほぼ確実とみられ、日銀の方は見送りの可能性が高いとみられますが、こちらはまだ不確実だと言えます。16日の日経新聞でも、「日銀、利上げ見送りを視野に」という見出しで、今回は見送りに傾いている可能性が高いようだと伝えていました。筆者の懇意にしている日銀記者クラブ詰めの彼に言わせると、「日銀内部の話だと、利上げは半年に1回程度だといった認識があるようだ」と話していました。日銀による利上げで「金利のある世界」に足を踏み入れたのは今年7月31日でした。仮に半年に1度の利上げが前提となるとしたら、今回は見送られ、来年1月の会合で追加利上げがなされたら、彼の情報はかなりの精度を持つことになります。因みに、7月に想定外の利上げを決めた際、ドル円は151円台半ばから153円80銭まで急騰しましたが、153円80銭というのは、偶然ですが足元の相場とほぼ同水準です。

またFRBにしても今会合で利下げを決めたとしても、来年以降のトランプ政権の政策実施を考慮した場合、インフレ圧力が高まることが予想され、このまま順調に利下げを継続できる保証はありません。FOMCが9月に公表した経済見通しでは、2025年度のドットチャートが示した利下げ回数は25ベーシスポイントを前提とすれば「4回」でした。今回もドットチャートが示されますが、少なくとも4回の利下げはなく、「3回、もしくは2回」という予想が示されるのではないかと思われます。米大手銀行のウェルズファーゴは「25年の利下げ回数は、3、6、9月の計3回になる」との予想を公表しています。

注意したいのは、日米金融当局トップの発言です。FOMCメンバーの多くは、「今後金融政策の中心に座るのは、労働市場の動向ではなく、インフレ見通しだ」という見方で大方一致しているものと思われます。パウエル議長が会見でこの見方をより鮮明にするようだと、ドルがもう一段買われる可能性があります。また植田総裁も、「経済・物価見通しが日銀の想定通りに推移すれば、追加利上げの選択肢は排除しない」といった文言を繰り返すとみていますが、加えてどのような言葉を添えて来るのかというところです。それでも気を付けたいのが、会合前までに大幅な円安が進行した場合、急遽利上げに踏み切る可能性はないとは言えないという点です。可能性は否定できませんが、それでも個人的には155円まで円安が進んだ程度では、利上げに踏み切る可能性は低いと予想します。BNPパリバは「ドル円が160円台を抜けない限り、12月利上げはない」と、かなりタカ派的な見通しを維持しています。

今週の注目材料

  • 12/16(月)
    中 中国11月小売売上高
    中 中国11月鉱工業生産
    独 独12月製造業PMI(速報値)
    独 独12月サービス業PMI(速報値)
    欧 ユーロ圏12月製造業PMI(速報値)
    欧 ユーロ圏12月サービス業PMI(速報値)
    欧 ラガルド・ECB総裁講演
    英 英12月製造業PMI(速報値)
    英 英12月サービス業PMI(速報値)
    米 12月NY連銀製造業景況指数
    米 12月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
    米 12月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
    米 12月S&Pグローバル総合業PMI(速報値)
    加 カナダ11月住宅着工件数
  • 12/17(火)
    豪 豪12月ウエストパック消費者信頼感指数
    独 独12月ifo景況感指数
    独 独12月ZEW景況感指数
    欧 ユーロ圏10月貿易収支
    英 英11月失業率
    英 英ILO失業率(8−10月)
    米 11月小売売上高
    米 11月鉱工業生産
    米 11月設備稼働率
    米 12月NAHB住宅市場指数
  • 12/18(水)
    日 11月貿易統計
    欧 ユーロ圏11月消費者物価指数(改定値)
    英 英11月消費者物価指数
    米 経常収支(7−9月)
    米 11月住宅着工件数
    米 11月建設許可件数
    米 FOMC 政策金利発表
    米 パウエル議長記者会見
  • 12/19(木)
    日 7−9月GDP(確定値)
    日 日銀金融政策決定会合
    日 植田日銀総裁記者会見
    独 独1月GFK消費者信頼調査
    欧 ユーロ圏10月経常収支
    英 BOE金融政策発表
    英 BOE金融政策委員会(MPC)議事録
    米 新規失業保険申請件数
    米 7−9月GDP(確定値)
    米 12月フィラデルフィア連銀景況指数
    米 11月景気先行指標総合指数
    米 11月中古住宅販売件数
    米 決算発表 → フェデックス、ナイキ
  • 12/20(金)
    日 11月消費者物価指数
    独 独11月生産者物価指数
    欧 ユーロ圏12月消費者信頼感指数(速報値)
    英 英11月小売売上高
    米 11月個人所得
    米 11月個人支出
    米 11月PCEデフレータ(前月比)
    米 11月PCEデフレータ(前年比)    
    米 11月PCEコアデフレータ(前月比)
    米 11月PCEコアデフレータ(前年比)
    米 12月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
  • 12/21(土)
  • 12/22(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。