「関税」という武器を最大限に利用し、連日「アメリカファースト」を実践しつつあるトランプ大統領ですが、大統領に就任して20日ほどが経ちました。CBSニュースが共同で実施した世論調査の結果が明らかになりました。先週5日から7日にかけて2175人を対象に行われた調査では、トランプ大統領の支持率は「53%」だったことが分かりました。ブルームバーグによると、この支持率は決して高くはないと報じていました。2009年にオバマ氏が大統領に当選した際は「66%」、2001年のブッシュ氏も「59%」の支持率を得ていたそうです。バイデン前大統領でさえ、就任直後の2月では「57%」の支持率を確保していました。ブルームバーグは、「選挙後によく見られる『蜜月』であるにもかかわらず、調査に応じた多くがトランプ氏は物価低下への取り組みが不十分だと判断。メキシコやカナダ、欧州に関税を賦課する計画に対しては、過半数が否定的な意見だった」と伝えています。昨年11月の大統領選で、トランプ氏がハリス氏を破り勝利した構図がそのまま残っており、支持率の増加にはつながっていません。依然として半数近くの国民が支持していないことになります。
ドル円は150円台後半まで売られ、すでに「日足」のサポートは全て抜け切っており、現時点では週足の雲の下限に下落を止められている状況です。筆者は「相場の基準は日足にある」と考えており、その「日足」でドル高トレンドが転換していることから、目先ドルの上値は重いと予想しています。少なくとも、米インフレ率が再び上昇に向かっていることが確認されるまでは、ドルが売られ易い展開が続くと想われます。気を付けたいのは、トランプ氏には「貿易戦争は回避したい」という意志が見られないという点です。今朝も、トランプ政権が10日から、鉄鋼とアルミニウムの輸入には例外なく25%の関税を掛ける予定だと伝えられるとドル円は買われ、一時は152円20銭まで上昇しています。関税の引き上げは、米インフレに直結することで、ドルが買われました。このように、今後どのタイミングで再び関税を引き上げ、あるいは引き下げを行うのか、不透明です。焦点は、中国が計画している報復関税の規模と範囲です。また今後、欧州に対する関税を発表することになりますが、これが想定よりも厳しい内容であれば、世界的な貿易戦争に拡大することになります。先の石破・トランプ会談では特に為替の水準に関する言及はなく、米財務長官と日本の財務相との会談で改めて協議することで合意しています。大統領選の期間中には、ドル安を望んでいるといった発言もありましたが、今のところまだ口出しはしないようです。今週の注目は何と言っても、パウエル議長の議会証言です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。