米国の長期金利を巡る足元の動きや、多くの債券関係者の見方とは異なり、このような全く異なる見方があるので、敢えて引用してみました。米大手資産運用社「ティー・ロウ・プライス」の債券運用責任者アリフ・フセイン氏が最新のリポートで、「米10年債利回り(長期金利)について、最終的に6%に達すると予想している」と、ブルームバーグは伝えています。足元では4.3%程度で推移している同金利が6%まで上昇するということは、かなり大胆な予想ということになります。もし米長期金利が6%まで上昇すれば、債券が大きく売られ当然ドルが買われます。資金が債券から株に流れることで、リスク資産の株も買われる公算が高いでしょう。いつ、どのようなタイミングで同金利が6%まで上昇すると予想するのかは明確にしていません。またその理由については、常識的には「トランプ関税」の影響でインフレが進み、その結果金利が上昇するものと考えがちですが、フセイン氏はそうではありません。「ドイツの財政拡大の動きがこの逆張り的な見方を裏付ける」と話し、「ドイツの財政計画が金融市場のゲーム・チェンジャーとなり、債券発行による政府の資金調達競争が激しくなる」と予想しています。今朝24日(月)の「アナリストレポート」でも触れましたが、欧州最大の経済大国ドイツはこれまでの緊縮財政から大きく舵を切り直すことを決めています。因みに、米長期金利が6%に達したのは2000年ですから、最短でも25年ぶりのこととなります。やや現実離れしているとは思われますが、このような見方があることを知っておくことも無駄ではありません。
今週は28日(金)に発表される「2月の個人消費支出(PCE)価格指数」が注目されます。FRBは先週19日の会合では政策金利据え置きを決めました。パウエル議長は、仮にトランプ関税でインフレが加速したとしても、それが「一時的なものになるかどうか、当局として実際のところ分からない」と述べており、「不確実性が極めて高い」とのコメントを残していました。FRBが基調的なインフレ動向を反映する指標として、より注目している「コアPCE」は前月比で「0.3%」(1月も0.3%)、前年同月比で「2.7%」(1月は2.6%)と予想されています。4月2日には多くの貿易相手国に適用する「相互関税」が発動される予定です。トランプ大統領はこの日を「米国の解放の日」と呼んでいました。最新の情報では、トランプ氏は広範な相互関税の発表を予定してはいるが、一部の国・地域は除外される見込みだと、トランプ氏の側近らが話していると伝えられています。もし、例外なく適用されるようなら、ドルと株が売られ、債券が買われる可能性が高いと思われますが、除外される国・地域が多いようだと、安心感からその逆の動きが予想されます。特に日本に適用されるのかどうかで、ドル円は大きく動く可能性があります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。