今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円、154円を中心に一進一退」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は欧州市場の流れを受け朝方は153円台半ばから始まったが、ドル買い優勢の中154円80銭まで反発。
  • ユーロドルは1.05台後半から1.06でのもみ合い。
  • 株式市場は引き続き不安定な動きの中、3指数はまちまち。ダウは120ドル下げたが、他の2指数は上昇。今夜決算発表を行うエヌビディア株が大きく買われナスダック指数をけん引。
  • 債券は続伸。長期金利は4.39%台へ低下。
  • 金は続伸し、原油も小幅に上昇。
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10月住宅着工件数 → 131.1万件
10月建設許可件数 → 141.6万件
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ドル/円 153.41 〜 154.80
ユーロ/ドル 1.0566 〜 1.0601
ユーロ/円 162.24 〜 163.93
NYダウ −120.66 → 43,268.94
GOLD +16.40 → 2,631.00ドル
WTI +0.23 → 69.39ドル
米10年国債 −0.018 → 4.396%

本日の注目イベント

  • 日 10月貿易統計
  • 独 独10月生産者物価指数
  • 欧 ECB金融安定報告
  • 欧 ラガルド・ECB総裁講演
  • 英 英10月消費者物価指数
  • 米 決算発表→ エヌビディア

本日のコメント

ウクライナ軍は米国が使用を許可した兵器で初めてロシア領を攻撃しました。インタファクス通信によると、ウクライナは米国が供与した長距離射程兵器「ATACMS」で、ロシア西部ブリャンスク州の軍事施設を攻撃しました。バイデン政権が同兵器の使用を許可した矢先のことで、ウクライナとしても今後停戦交渉も予想される中、バイデン政権が交替する前にロシアに軍事的な打撃を与えておき、交渉を有利に進める狙いもあるようです。ロシア国防省はウクライナからの6発の「ATACMS」による攻撃のうち、5発を撃墜し、1発に損傷を与えたと発表しています。この攻撃を受けロシアのプーチン大統領は、核ドクトリン改定を承認するなど、猛反発しています。ペスコフ大統領報道官も19日、ウクライナが西側諸国のミサイルをロシア領内に向けて使用した場合、核による報復の可能性を示唆しています。

バイデン大統領は退任まで残り2カ月しかなく、北朝鮮が最終的には最大で10万人の兵士をロシアに送り込む可能性も示唆される中、自身が在任中に出来るだけのことをしておきたいとの意向もあるようです。自身が大統領に再任されれば、24時間以内に戦争を終結させると豪語していたトランプ次期大統領ですが、具体的にはどのようにして戦争を終結させるのかについては、まだ触れていません。次期政権の国家安全保障担当補佐官に指名されたマイケル・ウォルツ氏は18日のバイデン大統領の決定について、「エスカレートの梯子をまた一つ上がるものだ。これが向かう先は、誰も知らない。トランプ氏の計画は交渉により戦争を終わらせることだ」と述べていました。(ブルームバーグ)ただ、現時点では交渉により3年も続いた戦争が直ちに終結できるとは考えにくく、その過程で予期せぬ方向に進む可能性も危惧されます。

トランプ政権での財務長官就任を取り沙汰されていたキャンター・フィッツジェラルドCEOのハワード・ルトニック氏は、財務長官ではなく商務長官に指名されました。またブルームバーグは、トランプ氏が財務長官候補の1人であるケビン・ウォーシュ元FRB理事と一両日中に面接する予定だと報じています。財務長官が決まれば、次期政権の中枢はほぼ決まることになり、来年1月の政権発足を待たずに影響力を増してきそうで、市場にも影響を与えそうです。トランプ政権では、欧州との関係がこれまでより悪化すると予想される中、ラガルドECB総裁は、トランプ政権への直接的な言及は避けながらも、「もはや、独立した経済の緩やかな連合体としてわれわれ自身を見ることはできない。世界が最大級の経済圏を中心とした地政学的なブロックに分断しつつある今、そのような見方は時代遅れだ」と指摘し、「今単一の巨大経済として自分たちを見る必要がある」と講演で述べていました。

ドル円は欧州時間に153円28銭まで売られましたが、その後のNYでは反発し154円台後半まで上昇しています。153円台を何度かテストしていますが、今のところレンジの下限の雰囲気があります。一方上値の方も、米金利の上昇傾向が一服したことや、日米とも株価がやや軟調なこともあり、155円台ではドル売りも出やすい状況です。今夜は株式関係者が非常に注目している「エヌビディア」の決算発表があります。好決算で、株価が大きく上昇するようだと全体にも影響し、「株高→リスクオン→ドル買い円売り」といったシナリオも考えられますが、失望すれば152円台もあるかもしれません。

本日は153円〜155円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
11/18 植田・日銀総裁 「経済や物価の改善に併せて緩和度合いを少しずつ調整していくことが成長を支え、物価安定の目標を持続的・安定的に実現していくことに資する」、(そのタイミングについては)、「先行きの経済・物価・金融情勢次第」とし、「毎回の会合で利用可能なデータや情報などから、経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら政策判断を行っていく」 利上げへの言及がなかったことでドル円は154円台半ばから154円台後半へと上昇。
11/14 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「米金融当局は大きな進展を遂げたが、まだ勝利宣言をすることは出来ない」 --------
11/14 クーグラー・FRB理事 「インフレの進展を停滞させる、あるいは再び加速させるリスクが生じれば、政策金利の引き下げを一時停止するのが適切となるだろう。しかし、労働市場が突然減速する場合、政策金利の漸進的な引き下げを継続することが適切だろう」 --------
11/14 パウエル・FRB議長 「最近の経済は目覚ましく良好に推移している。慎重なペースで政策金利を引き下げる余地が生じている」、「経済は、利下げを急ぐ必要性についていかなるシグナルも発していない。労働市場の状況は概ね均衡し、インフレ期待もかなり安定する中で、インフレ率は時に起伏のある道をたどりながらも、2%の目標に向かって引き続き低下していくと予想している。また、経済データが許せば、利下げをゆっくり進めるのが賢明だろう」 ややタカ派的であったことからドル円は156円41銭まで上昇。
11/13 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「インフレは正しい方向に進んでいると考える。その点について自信を持っているが、もう少し様子を見る必要がある。何らかの決定を下す前に、さらに1カ月もしくは6週間のデータを分析しなくてはならない」 --------
11/13 ローガン・ダラス連銀総裁 「終着点に達するまでFOMCはさらに追加利下げを必要とする可能性が高いだろう。しかし、利下げの回数やペースを見極めるのは難しい」 --------
11/13 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「インフレを目標に回帰させ、最大限の雇用を支える上で、金融政策は好位置にある。政策金利を時間とともに中立水準へ漸進的に調整することを通じて、これらの達成を図っている。インフレが2%に向って低下し続けることが前提だ」、「追加利下げを検討する際には、今後入手するデータを思慮深く、かつ辛抱強く検証することが可能だ」 --------
11/12 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 (来月のFOMC会合での利下げ一時停止の可能性について尋ねられ)、「インフレ面で驚くようなことが起こらない限り、見通しが劇的に変わることはないだろう」、「それまでにインフレが予想外の上振れを見せれば、利下げを一時停止する可能性もある。一方で、12月までに労働市場が実際に過熱するとは考えにくく、それほど時間はない」 --------
11/12 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「購買力は高いが価格に敏感な消費者に、より生産的で価値の高い労働力が重なり、経済を良好な方向に導いた。米金融当局は経済が今後どう展開しても適切に対応できる状態にある」、(今後の経済シナリオについては)「1つは、米選挙を巡る不透明感が消え、企業が投資・雇用を再開した場合、金融当局としてインフレの上振れリスクを警戒するシナリオ。2つ目は購買力低下による利幅縮小に対応して企業が人員を削減、その結果として雇用リスクが上昇するシナリオだ」 --------
11/9 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「利下げ幅は、議会と新政権の目先の計画ではなく、生産性と経済成長にかかっている。成長が維持され、今後も構造的に生産性に高い経済成長が続くのであれば、恐らくそれほど大きな利下げには至らないだろう」と、「トランプ時期政権と新議会による政策はインフレを刺激し、最終的に利下げ幅の縮小につながるかどうかを判断するのは時期尚早」 --------
11/7 パウエル・FRB議長 「われわれは時間をかけてより中立的なスタンスへと移行しており、そうした中で今回の政策スタンスのさらなる調整は、経済と労働市場の強さを維持する一助となり、インフレ面でのさらなる進展を今後も可能にするだろう」 株と債券が買われ、金利が低下したことで153円台から152円70銭まで下落。
11/7 FOMC声明文 「委員会は雇用とインフレ目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると考える。経済見通しは不確かで、委員会は2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」、「今年に入って以降、労働市場の状況は概ね緩和してきた。失業率は上昇したが、依然として低い水準だ」、「委員会は最大限の雇用を支え、インフレ率を目標の2%に戻すことを強くコミットしている」 株と債券が買われ、金利が低下したことで153円台から152円70銭まで下落。
10/21 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「これまでのところ、われわれが利下げを続けないことを示唆する情報は見当たらない」、「インフレ率が既に2%に向かいつつある経済にとって、極めて引き締め的な金利となっており、労働市場のさらなる悪化を私は望まない」、「われわれは現在の経済情勢と変化しつつある状況に適合するよう、政策を調整し続けていく」 --------
10/21 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「中立的な水準に到達する上で、私は今後数四半期にわたってより緩やかな利下げを予想している。ただし、それはデータ次第にある」、「より早いペースで動くためには、労働市場が急速に弱くなっているという確かな証拠が必要だ」 債券が売られ金利が上昇。ドル円は149円台後半から150円台後半に。
10/21 ローガン・ダラス連銀総裁 「2大責務のインフレと労働市場に対するリスクのバランスを取る上で、それほど景気抑制的でない金融政策が寄与する。景気が現在の想定通りに進展すれば、政策金利をより正常または中立的水準に向けて徐々に引き下げる戦略は、リスクを管理し、目標を達成するのに役立つだろう。しかし、正常化への道筋がどのようなものになるのか、政策がどの程度のスピードで対応すべきか、そして金利がどこに落ち着くべきかについては、様々なショックが影響する可能性がある」 債券が売られ金利が上昇。ドル円は149円台後半から150円台後半に。
10/17 ラガルド・ECB総裁 「成長のリスクは依然として下振れ方向に傾いているが、リセッションは想定していない。われわれは引き続きソフトランディングを見込んでいる」 --------
10/17 ECB声明文 「インフレについて入ってくる情報は、ディスインフレのプロセスが順調に進行していることを示している」、「政策委員会は物価安定の目的を達成するため必要な限り、政策金利を十分に景気抑制的な水準に維持する。景気抑制の適切な水準と期間を決定するため、引き続きデータ依存かつ会合ごとのアプローチを取る」 --------
10/15 デーリー・サンフランシス連銀総裁 「われわれは警戒姿勢を維持し、意図的に行動する必要がある。経済を継続的に分析し、二大責務の両方を均衡させなければならない」、「年内にあと1回か2回の追加利下げが行われる可能性が高い」 --------
10/14 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「政策を中立の姿勢に向けシ慎重なペースで進めていくことは可能だ」、「最終的には、政策の方向性は経済とインフレ、労働市場に関する実際のデータによって決まるだろう」、「労働市場については、急速な軟化は差し迫っていないように見受けられ心強い。インフレに関しては、ピークから顕著に鈍化したが、依然として目標をやや上回っている」 --------
10/14 ウォラー・FRB理事 「データを総合的に判断したところ、利下げペースに対して9月会合で必要とされた以上の慎重さを持って進めていくべきだとみている」、「政策を中立の姿勢に向け慎重なペースで進めていくことは可能だ」 --------
10/10 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「データによってそれが適切と示されるのであれば、金利据え置きでも全く抵抗はない」、「つまり、私が想定した通りのデータとなる場合、年内残り2回の会合のうち1回では据え置きにオープンであることをすでに示している。われわれは辛抱強く、もう少し長く事態の展開を見守る力があると考える。今日の統計には、その見解を裏付ける要素がある」 市場はドル買いで反応。
10/9 ローガン・ダラス連銀総裁 「先月に0.5ポイントの利下げが行われた後で、二つの責務に対するリスクの間で最善のバランスを取るためには、正常な政策スタンスへの回帰はより緩やかな道筋が適切になるとみられる」 --------
10/3 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「インフレは低下しており、目標に近づいている。失業率は上昇したが、雇用市場は基本的には望ましい状態にある」と発言し、「金利は今後12カ月間に大幅に下がる必要がある」 --------
10/2 石破首相 「個人的には現在追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない。これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展することを期待している」 ドル円144円台半ばから146円台半ばまで上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和