2018年に入り1月も3分の2を終えましたが、ドル円は引き続き上値の重い展開が続き、足元では112円の水準さえも近いようで遠く感じられる状況になっています。先週末のNY市場では米10年債利回りが一時2.66%台まで上昇し、約3年ぶりの水準を記録しましたが、ドル円はもう一つの材料である「米政府機関閉鎖」の可能性が高まったことに反応し、110円台半ばまでドル安が進みました。
ドル円と米長期金利はほぼ同じ動きをしていたものが、昨年11月あたりからその関係が崩れています。この変調について、ブルームバーグニュースは、その変化は11月2日のトランンプ大統領によるパウエル次期FRB議長指名を機におきたとの記事を載せています。記事によると、筆者もこれまでに述べてきたように、今月9日の日銀による買いオペ減額がきっかけだったと指摘しています。この減額で、テーパリングへの思惑が広がり、金利正常化に向けた動きが出てくるのではないかという見方が広がり、円高が進んだと指摘しています。
足元では、ドル円と米長期金利の相関係数は「0.5」を割り込んでいます。この相関係数は「1」に近ければ近いほど相関度が強く、昨年11月までは「0.8」近辺で推移していました。米長期金利が上昇したとしても、日銀が金融正常化へ舵を切るようだと、円金利も上昇し、日米金利差は思ったほど広がらないという「読み」が、ドル円が上昇しない理由の一つになっているようです。
ただ冷静に考えて、いまここで日銀が政策を変更する可能性は極めて低いと思われます。既に市場が先読みしているように、金融政策の変更を発表した瞬間に、急速な円高が進むことになるからです。仮に現在の不透明感が払拭できずに、ずるずると円高が進んだ場合には、さらに出口に向かう政策変更が遅れることになります。明日から始まる今年最初の日銀決定会合では、政策変更はないと思いますが、24日の黒田総裁の記者会見はかなり注目されるはずです。ここで、これまで通り「2%の物価目標達成を全力で行っていく」といったコメントがでれば、市場の不透明感は払拭され。ドル円と米金利との相関関数も再び「1」に向かって上昇していくものと予想します。
為替は金利差だけで動くものでもありません。ただ、長期的にみれば、やはり金利差は重要なファクターで、ボディーブローのようにじわじわと効いてくるのも事実です。110円を割り込んで下落が加速するリスクはありますが、ここは慎重に対処したいところです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
