年初からのドル安の流れは止まらず、先週は米トランプ政権の要人発言から、昨年9月以来となる108円50銭のドル安水準を記録したものの、そこから急反転するなど、相場は乱高下しました。ムニューシン財務長官がドル安容認とも取れる発言を行ったと思いきや、翌日にはトランプ大統領自らそれを否定する発言を行い、「ドルはますます強くなるだろう」と発言しています。足並みの揃っていないトランプ政権そのものの不透明さも、ある意味ドル売り材料になっている部分もあろうかと思います。
さらに先週金曜日のダボス会議のフォーラムでは、黒田日銀総裁が「2%の物価上昇は近い」と発言したことを材料に再びドルが売られ、108円28銭までドル安が進むなど、要人発言に振り回される展開になっています。上記3人の本意は、やや言葉尻とは異なっているとは思いますが、今やAIの時代。ヘッドラインだけで瞬時に売り買いを実行してしまうコンピュータが、相場の振幅を大きくしているのが実情のようです。発言者の本意とは異なっていても相場が動いてしまう以上は、いた仕方ありません。今後もこのような動きが散見されると思われます。
2018年が始まって間もなく1カ月が経ちますが、既にドル円は5円ほどドル安方向に振れてきました。昨年1年間で11円強の動きに留まったことを考えると、かなりのボラといえます。足元のドル安傾向は、まだ収まってはおらず、市場はドルにとって「ネガティブ」な材料には素直に反応する地合いになっています。そのため、ドルの戻りを売りたいという投資家が増えたものと思われます。ある程度ドルが下げ、底値を確認するまではドルの反発も期待できません。
今週は引き続き荒っぽい動きが予想されます。30日にはトランプ大統領の一般教書演説が予定されています。「アメリカ・ファースト」や「保護主義」が強調されるようだと、ドルが下落する可能性がありますが一方で、1兆7000億ドル(約185兆3千億円)とも言われている「インフラ投資」の効果が注目されるようだと、ドル反発のきっかけになるかもしれません。
また2日(金)は恒例の雇用統計が発表されます。このところの同指標では、発表後に為替が大きく動くケースが少なくなっています。雇用者数そのものが余り意味を持たなくなったことで、注目度が低下していることが背景です。それに替わるのが「平均時給」です。因みに今回の予想は、前年比で2.6%の上昇と見られています。この予想を上回るかどうかで相場は大きく動くので、注意が必要です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
