先週、日経平均株価は300円単位で乱高下しましたが、それに呼応するかのように為替も神経質な動きを見せました。ドル円は一時108円28銭までドル安が進んだ後、週末の東京時間には、日銀が7カ月ぶりに債券市場で「指値オペ」を実施し、長期金利の上昇を容認しない姿勢を示しました。この日は日経平均が再び300円ほど下げたにも関わらず、ドル円は日銀のオペレーションを「政策変更はなし」と受け止めて、ドルの買い戻しを強めた格好でした。この「指値オペ」がなかったら、再び108円台までドル安が進んでいた可能性もあったと思われます。
その後NYでドル円は一段と上昇し、一時は110円48銭までドルが買われ、10日ぶりのドル高水準をつけましたが、NY株の急落の影響から週明け月曜日には110円を割り込んでいます。1月の雇用統計で平均賃金の上昇率が前年同月比で2.9%と、予想を大きく上回ったばかりか、リーマンショック前の水準にも近付いてきたことから、FRBは今年の利上げを3回から4回に増やすとの見方が強まり、金利の上昇を嫌った株価が大きく下げたものです。ただ一方では、今年に入ってのNY株価の上昇はかなり急だったこともあり、「当然の調整だ」といった見方があるのも事実です。ここからしばらくはこれまでとは異なり、株価の動きが為替相場の行方を左右することになりそうです。
好調な米雇用統計の結果を受けて米長期金利は一段と上昇し、先週末には一時2.85%まで上昇しました。FRBによる利上げ回数の上振れに加え、今年からはトランプ政権の政策の柱の一つである「インフラ投資」も始まります。財源の問題はまだ決まってはいませんが、国債の増発は避けられそうもなく、これも米長期金利の上昇圧力になっています。
久しぶりに大幅な下落を見せたNY株式市場ですが、この先再び上昇基調に戻っていくのかどうかは、ここしばらく動きを注視するしかありません。ただここは冷静に考えておきたいと思いますが、
米金利が上昇するということは、とりもなおさず米国の景気がいいということが前提になっています。金利上昇が必ずしも株価のマイナス要因とは限りません。景気拡大にともなって、企業業績も拡大するのかどうかが問われることです。
上で述べたように、日銀の金融政策スタンスに変化がないようなら、米金利の上昇は日米金利差の拡大につながります。今週からFRBは「パウエル議長体制」になります。また、今週は地区連銀総裁の講演も多く予定されています。良好な雇用統計を踏まえて、各連銀総裁が利上げに関してどのような認識を示すのかも重要な材料になります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
