株安、債券安がドル円にも波及し、先週末にはついに105円台まで下落し、一時は105円55銭までドル安が進行しました。これまではどちらかといえば、ドル円は下落したものの、ユーロドルも1.25台まで上昇するなど、「ドル安」の側面が強かったと思われますが、先週後半からはクロス円全般が下げ「円高」の側面が強まりました。ドル円が1年3カ月ぶりの円高水準まで売られたことが背景だと思われます。
先週1週間では、株価が大きく戻し、2.92%台まで上昇した米長期金利もやや低下し、2.87%台で越週しています。「VIX指数」も危険水域の「20」を割りこんでいることから、混乱のピークは過ぎ去ったと思われます。ただそれでもドル円の戻りは重いと言わざるを得ません。市場参加者の多くがまだドルが下がると見ており、「ドルの戻りを売りたい」と考えているため、相場観の転換には至っていないと思われます。従って、先週末の105円55銭が底値だったとは言えません。もう2〜3回ほど105円台を試し、それでも106円に押し戻される展開になれば、目先の「底値確認」と言えると思いますが、まだ時間はかかりそうです。
それにしても、足元の相場の動きはドル高材料には反応しません。米金利高、日米株価の反転、引き続き良好な米経済指標にはほとんど反応を見せません。また、第2次黒田体制にも反応薄です。安倍政権は、今後も2%物価目標達成のために金融緩和を続ける明確な意思を示し、黒田総裁の続投を決めたばかりか、副総裁の一人に早稲田大学の若田部教授を持ってきました。氏は前任者の岩田副総裁よりもさらに「リフレ色が強い」と言われ、筋金入りのリフレ派と見られています。今後さらに円高が進み、2%物価目標達成が遠のくようなら、さらなる「追加緩和」も全く考えられないわけではありません。
先週末ドル円が105円台に突入した際には、財務省、金融庁、日銀の責任者が緊急の会合を開き、今の動きは「一方方向に偏り過ぎている」とのコメントを発表し、今後はさらに為替の動きには注視すると語っていましたが、反応したのはわずかな時間だけでした。大規模な減税やインフラ投資で米国の財政規律が悪化するとの見方や、トランプ政権が中国や日本など、対貿易赤字国に対する規制の強化に踏み切るのではとの見方が、背景にあるようです。今週は、105円台半から反発したドル円がどこまで値を戻せるのかに注目しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
