先週のドル円は概ね堅調に推移しました。今月16日に記録した105円55銭から徐々に買い戻しが進み、107円90銭を何度か試しましたが、結局108円には届いていません。2月2日の110円48銭を頂点に下落が始まったと考えれば、108円近辺はちょうど「半値戻し」の水準で、戻り売りが出易い水準だったと思われます。米長期金利が2.95%と、4年1カ月ぶりの高水準を記録するなど、引き続き金利高を嫌う株式市場は乱高下し、先週も1日の値幅が500ドル程上下した日もあり、まだ落ち着いたとは言えません。
今週の注目材料はやはり明日から行われるパウエルFRB議長の議会証言でしょう。明日27日には下院金融委員会で証言を行います。これまでパウエル新議長の金融スタンスというものは、余り明からにはされて来ませんでした。そのため「これまでのイエレン前議長のスタンスを踏襲するだろう」というのが、一般的な同氏に対する見方でした。ところが今月に入って、株価が急落しNYダウは過去最大の下げ幅を記録するなど、一気にリスクオフモードに入っています。パウエル新議長に対する「厳しい洗礼」だったとも言えます。
そんな中、議長は明日証言を行います。難しいのは、好調な米景気を理由に利上げスピードを速めるような発言を行うと、米長期金利が上昇し、再び株価が大きく沈むことになることです。今後株価が大幅な調整につながるようだと、米景気そのものに水を差すことにもなりかねません。そこは議長のとしても避けたいところでしょう。従って利上げに関しては、個人的には慎重なスタンスで臨むことになると予想します。一方、昨年末に成立した税制改革や、今後のインフラ投資などの景気刺激策から米景気が一段と拡大し、GDP押し上げ効果があるだろうと見られています。その結果、インフレ懸念が台頭し金融当局も急激な利上げを余儀なくされる懸念も残ります。このシナリオが残る以上、FRBの慎重な利上げにも限界が見えてきそうです。
このような状況を前に、パウエル議長がどのような内容の証言を行うのかが注目され、その内容がそのまま為替にも影響を及ぼすことになります。年初から続いている「ドル安円高」トレンドがさらに加速されるのか、あるいは慎重な姿勢を評価し、長期金利に頭打ち感が出、これを好感して株価が出直り、ドル円も110円方向に戻るのか、注目したいと思います。
市場のセンチメントは依然として下値リスクの方が大きいと思われます。105円を割り込むようなら、ドル安がさらに加速する可能性があることは意識しておきたいと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
