先週のドル円は107円台乗せもあり、105円台まで売られる場面もありましたが、いずれもレンジブレイクには至らず、依然として105円台半ば〜107円台半ばのレンジが続いています。週初には「ティラーソン国務長官解任」という衝撃的なニュースが飛び込んできたにも関わらず、節目の105円を割り込んではいません。ワシントンポストは、さらにマクマスター大統領補佐官の解任も近いと報じているようです。トランプ大統領の露骨な解任人事は、まだ留まるところを知らないようです。
また、大統領は保護貿易主義をさらに強め、中国に対して「1千億ドルの貿易赤解消のための施策」を指示しており、これに対して中国側は今のとこと報復措置にでる構えは見せずに、米国の冷静な対応を望んでいます。ただ米国貿易赤字の半分以上は対中国貿易であることから、そう簡単に減らせないと見られています。同時に、米国は景気が拡大すると、貿易赤字が拡大する傾向にあり、今後も景気の拡大が見込まれていることから、思惑通りに貿易赤字の解消が進むかどうかは不透明です。一方「全人代」を終え、さらに権力を増したと見られる習近平政権が、米国に対して報復措置を取る可能性もないとは言えず、「貿易戦争」の様相が強まってくるかもしれません。
今週は、「森友問題」の行方や、上記貿易制限の内容、さらにはFOMCもあり、相場は大きく揺れ動く可能性があります。「森友問題」では、決裁文書の改ざんにどこまで政治家が関与していたのかが焦点で、場合によっては安倍政権の大きな痛手となる可能性があり、安倍首相の責任問題にまで発展すると、ドル安円高が進むきっかけになる事も予想されます。
FOMCでは、利上げに踏み切ることはほぼ間違いないと思われます。焦点はその後のパウエル議長の会見での発言です。ここで、米景気の先行きに対してこれまで以上に楽観的な見方を示すようだと、長期金利の上昇要因となり、株価の下落から円買いが強まることになります。現在の利上げ回数は、3回か4回かという点が見方の分かれるところですが、これが4回に近付くことになります。一方、利上げは急がないという点が強調されるようだと、安心感から株価の上昇とドルの上昇が見られる可能性はあります。
先週末に発表された3月のミシガン大学消費者マインドは14年ぶりの高水準でした。その前の週に発表された2月の雇用統計でも雇用者数は一段と伸びており、米国のファンダメンタルズは依然として好調さを維持しています。その意味ではドルがもう少し買われてもおかしくはありませんが、上述のように日米の政治スキャンダ等が上値を抑えている状況です。周りを見渡す限り、まだドル上昇のきっかけとなる材料を探すには困難な状況です。節目の105円が維持されている限り、大幅な円高はありませんが、底固いと思われる105円を割り込むようだと、ドルが一段と売り込まれるリスクはあると予想されます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
