ドル円は依然として上値が重い展開が続いていると思われますが、先週は104円台半ばで下落し、下方へレンジブレイクをしたことで、いよいよドルの下値を探る流れが強まると思っていたものが、先週は107円台までドル高が進み、ドル下落に対する警戒感はやや後退しています。北朝鮮の金正恩委員長の電撃的な中国訪問で、米朝会談や核開発の停止など、北朝鮮リスクが一段と低下したことが円売りにつながりました。今月27日には南北首脳会談も開催されることになりました。
懸念される地政学的リスクの一つが後退したことで、このまま再び105円割れを試し、100円方向に向かうという見方もやや勢いを失ってきました。テクニカル的にも、日足のレジスタンスラインを上抜けし、「MACD」ではマイナス圏ながらも、ドル上昇を示唆する「ゴールデン・クロス」も点灯しています。ドルの上値が依然重いとする専門家の相場観と、事実だけを表示するテクニカルのどちらが正しいのかはひと月もすれば判明しますが、興味のあるところです。
そんな中、今週末には「3月の雇用統計」が発表されます。非農業部門雇用者数は20万人と、先月の31万人から大幅に減少すると予想されていますが、これは先月上振れしたことの反動と見られます。実際の数字が20万人前後であれば為替への影響は軽微と見られますが、20万人を大きく上回るようだとドル高材料になることも、予想値が低いだけにないと言えません。失業率は4.0%と、前回よりも低下していると見られますが、いずれ3.5%へ方向へと低下すると一般的には見られています。
最も注目されるのは、今回も「平均時給」です。2月に発表された「1月の雇用統計」では「平均時給」が年率で2.9%と大幅な伸びを記録し、実に8年半ぶりの高水準だったことから、金利上昇を嫌った株式市場が急落し、その後日本を含めた世界同時株安につながったことは記憶に新しいところです。今回の平均時給は「2.7%」と予想されており、引き続き緩やかな伸びが見込まれています。この数字が2月の金融市場の混乱につながったことから、今回も多いに注目され、混乱の「火種」にはなり得ます。
雇用統計と同じく注目されるのが、米中の「関税引き上げ合戦」です。中国は米輸入関税への対抗措置として2日、米国からの輸入品128品目への関税上乗の発動を発表しました。豚肉など、輸入額が小額なことと、引き続き米中関係の一段の悪化阻止に向けて協議する余地を残しているため「貿易戦争」に発展する可能性は低いと見られますが、米国側の反応を見極める必要があります。トランプ大統領は支持率回復のため、あらゆる手段を駆使し秋に行われる中間選挙の勝利を目指していると思われます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
