ドル円は膠着状態を強めています。106円台を固めてきたようにも思えますが、一方で上値は107円台半ばが抜け切れなく、何度も押し戻される展開が続いていました。先週末のNY市場では、その壁を一時的とは、上抜けし107円78銭までドル高が進みました。朝鮮半島や米中貿易戦争へと進むリスクは後退してきましたが、にわかに中東情勢が緊迫度を増しています。米国が13日に英国、フランスと共にシリアを攻撃しました。週明けの為替と株価の動きが懸念されましたが、両市場とも冷静な反応を示し、ドル円は107円台前半から半ばで推移し、日経平均株価は小幅ですが、先週末比プラスです。
今後アサド政権側とロシアがどのような反応を見せるのか不透明な部分もあり、予断を許しませんが、ひとまず今週の材料は、明日から始まる日米首脳会談へと移らざるを得ないと思います。それはトランプ大統領の出方次第では為替相場に直接影響が出てくる可能性があるからです。中国に対してかなり強硬な報復措置を発表し、それに対して中国側も対抗措置を発表しましたが、結局中国側が「市場の開放」という形で譲歩しています。言い方は悪いですが、トランプ大統領はこれに味をしめて、日本に対しても強硬な姿勢で臨んでくる可能性があります。
トランプ政権にとって、日本は中国ほどではないとしても、到底受け入れることの出来ない貿易赤字相手国です。最大の貿易赤字製品は自動車ですが、既に米国から日本への輸入車については「関税ゼロ」で、むしろ日本車への関税障壁が存在し、ここに関しては議論にはならないと思われます。そうなると、日本とFTAを締結することや、最後の手段は為替の水準ということも考えられます。「円が実力よりも弱く放置されている事が、貿易不均衡の最大の原因だ」という論法です。トランプ大統領が「円は弱すぎる」という直球を投げてくれば、ドル円は一気に円高に振れることにもなります。
一方森友問題で支持率が急速に下がった安倍政権も、この会談を契機に国民の注目を変えたいところです。今回の会談で何か「成果」を持ち帰れば支持率の回復にもつながり、政権維持にもつながるため、日本側も会談では真剣勝負で臨むことでしょう。いずれにせよ、トランプ大統領の口からは何が飛び出すのか予測不能なことから、今週のドル円は値幅を伴って神経質な動きになることが予想されます。テクニカル的にはドルの上昇を示唆していますが、このまま110円方向に向かうとも思えません。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
