米中貿易問題で、中国側がいち早く自動車産業の市場開放を発表したり、日米首脳会談では米国からの制裁や厳しい要求がなく円高リスクが後退したことから、先週のドル円は小動きながらも堅調に推移しました。先週末には一時107円86銭までドルが買われ、107円65銭前後で越週しています。そして、週末には北朝鮮からまたまたサプライズな発表がありました。
北朝鮮の金正恩委員長は20日に開いた朝鮮労働党の中央委員総会で、21日から核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を中止することを表明しました。また「核実験」の廃棄も発表し、報道によりますと北朝鮮は21日から核実験とICBMの発射を中止するとともに核実験施設を廃棄し、他国による核の威嚇や兆候がないかぎり核兵器を使わず、第三国への核兵器と核技術を移転しないとも表明しています。
北朝鮮が「南北首脳会談」や「米朝首脳会談」を控え、急速にこれまでの敵対的な姿勢を軟化させてきました。先週ポンペオCIA長官が極秘裏に訪朝し、「米朝首脳会談」の下準備を行っていたこととも関係がありそうですが、トランプ大統領は「大きな進展」と評価しながらも、慎重な姿勢を崩さず、「北朝鮮については結論に程遠い。うまくいくかもしれないし、そうでないかもしれない。時間がたたなければわからない」と述べています。
今回の発表は「時間稼ぎ」との指摘もありますが、目先は北朝鮮リスクが大きく後退したことになります。とりわけ日本にとっては、上空をミサイルが飛ばなくなったことで、防衛安全上のリスクが後退することになり、安全通貨の円にとっては「売り材料」と見られます。週明け東京市場では、ドル円は107円台後半で推移しており、108円台テストも視野に入ったと見ています。今回の発表をまだ織り込んではいないNY市場の為替と株の動きによっては、大きくリスクオンに傾く可能性もあるのではないかと思います。
今週は先週同様に、特段大きなニュースでもない限りドル円は108円台を試し、上値を探る展開になるのではないかと予想します。日銀とECBが金融政策会合を開催しますが、どちらも政策変更はないと見られます。注目は両総裁の会見での発言ということになります。黒田総裁については、新執行部後初の会合ということで、「出口」までの距離に変化があるかどうか。ドラギ総裁については、債券購入プランは9月まで決まっていますが、それ以降の政策変更のヒントがあるのかどうかというところがポイントかと思います。
ユーロドルの膠着感も強まっています。1.22〜1.24近辺のレンジが、今週のドル高傾向で下抜けできるのかが注目されますが、1.22を割り込めば3月2日以来、約2カ月ぶりのユーロ安水準ということになります。先週発表されたIMMのポジションではユーロ買いが15万枚を超えており、かなりの高水準でした。1.2150近辺を明確に下回るようだと、損切りのユーロ売りを誘発することも想定されます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
