ドル円は先週2日に一時110円04銭と、約3カ月ぶりのドル高水準をつけました。FOMCで、市場予想通り利上げはなかったものの、「さらなる利上げが正当化される」との声明文がドル買いにつながった模様です。FRBは今年あと2回の利上げをもくろんでいますが、市場では「3回もあり得る」との見方が徐々に広がっているように思えます。6月の利上げは確実視されていますが、さらに9月と12月にも利上げがあるかどうかが、今後のドル円相場にも大きく影響してくるものと思われます。
先週末の雇用統計発表後には108円台半ばまでドル安が進み、週明けの7日(月)も109円前後で取り引きされているドル円は、110円台を見たことで一旦「達成感」が出た可能性があります。仮にそうだとすれば、今後は105−110円のレンジ内に収まる可能性が高く、107〜108円台までドルが弱含むことも考えられそうです。一方再び110円方向まで上昇する力があれば、ドルの底堅い動きが確認され、110円台前半に存在する、重要な「200日移動平均線」の攻防という展開も想定されます。いずれにしても、ここ2、3日の動きを注意深く見ていく必要があります。
ユーロドルも先週末のNY市場では1.1910まで売られ、ドルは主要通貨に対してほぼ全面高の展開になっていますが、これは、北朝鮮リスクが大きく後退した上に、2月以降崩れていた、米金利とドル円の相関関係が戻ってきたことが最大の理由かと考えます。今後米金利が緩やかに上昇すると見れば、現時点ではドルも緩やかに買われていくと予想することに違和感はありません。問題は中東問題やロシア疑惑、あるいは米中の通商問題など、潜在的なリスクがどこまで顕在化するのかということです。
3月期決算企業の多くは、今期の為替レートを100円〜105円に設定したようです。従って、110円以上の円安水準になれば、輸出企業の中には「プットオプション」などを駆使して為替のヘッジをおこなってくることは十分考えられます。110円台に乗せれば、さらに円安方向に振れる可能性もでてきますが、オプションを使えばある程度のコストで、仮にさらに円安が進んだ場合のメリットも享受できることから、多くの輸出企業が使っているようです。また個人投資家も、年初から保持してきたロングポジションもある程度解消されており、「ここからが本番」と捲土重来を期す投資家も少なくはないでしょう。
今週は引き続き為替に影響を与える米金利の行方に注目しながら、10日に発表される米4月のCPIにも注意したいところです。カンザスシティー連銀のジョージ総裁は先週、シナリオが景気過熱の様相を呈した場合には「比較的急な軌道にならざるを得ないかもしれない」と、年内あと2回の利上げがさらに増えるかもしれないことに言及しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
