為替市場ではドルが底堅い動きを見せています。ドル円は先週、110円台固めには失敗していますが、110円02銭までドル高が進み、ユーロドルも1.18台前半までユーロ安が進むなど、主要通過に対してドルは全面高の様相です。米10年債利回りが再び3%の大台に乗せたことや、北朝鮮に拘束されていた米国人3人が解放されるなど、米朝首脳会談に向け北朝鮮の融和姿勢がさらに強まり、投資家がリスクを取りやすい環境が徐々に整ってきたことが背景です。
先週末には米朝首脳会談の場所と日程も発表され、いよいよ歴史的会談へのカウントダウンが始まっています。米長期金利が高止まりしている一方、株式市場の方は金利高に対しても一時ほどの拒否反応を見せずに堅調な動きとなっています。日経平均株価は2万2800円台を回復し、NYダウも2万4800ドル台まで値を戻してきました。
今週は材料的にも目立ったものはなく、突発的なニュースでもない限り平穏な相場が見込まれそうです。あえて注目点を挙げれば、WTI原油価格と米10年債利回りの動きに注意しています。WTI原油価格と米長期金利の動きにはある程度の相関が見られます。原油価格が112ドル台で推移していた2013年8月には、米長期金利も2.97%前後まで上昇しており、その後原油が一貫して下落して30ドルを割り込んだ2016年1月には、長期金利も1.7%台まで低下した経緯があります。そのため、今後も原油価格が上昇すると考えれば、金利も上昇すると予想され、すなわちドル高が進むと考えられそうです。
今回原油価格が71ドル台後半まで上昇した直接的な要因は、米国のイラン核合意からの離脱です。イランは世界第4位の原産国で、今後米国が離脱に関する措置としてイランへの経済制裁を強めることになり、その結果、イランの原油生産量が減少するとの見立てから、NY原油先物市場に投機的な資金が流れ込み、相場を押し上げたものです。従って、中東情勢の行方も原油価格や安全資産の債券の行方を左右することから、注目すべきです。原油価格の高騰は、自動車社会である米国にとってマイナスの面もありますが、一方で米国は今や世界最大の原油埋蔵国と言われています。さらなる価格の高騰は、石油メジャ−を中心に米石油関連企業の価値を押し上げることにもつながりそうです。
ドル円は今週も109円台で一進一退の動きが予想されます。「閑散に売りなし」と言われるように、ドルが大きく下げる可能性は低いかもしれません。ただ金融各市場には「楽観的な雰囲気」が広がっていることから、リスクとしては下の方が大きいような気がします。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
