一旦中止になった米朝首脳会談が、予定通り来月の12日に行われる可能性が高まってきました。週明け27日の報道では、米代表団が首脳会談の準備のため、南北軍事境界線のある板門店に入ったとの報道もあります。現時点では会談が行われると見ていますが、焦点は非核化へのロードマップと、それに伴う北朝鮮に対する経済制裁解除があるかどうかという点に絞られます。非核化を巡っては、早期の非核化を望む米国と、段階的な非核化を希望する北朝鮮との間で、依然として大きな隔たりがあると言われています。トランプ氏は、米中貿易問題でも中国側から譲歩を引き出すなど、「成果」があるため、自信を強めています。ここでも強気の姿勢を示すかどうかも注目されます。
形はどうであれ、トランプ大統領と金委員長がシンガポールの会場で握手を交わす姿は見られると思いますが、そうなると次の材料は、日本も大いに関係する自動車の輸入関税引き上げ問題です。こちらは、もしトランプ氏が示唆したように関税を25%に引き上げるとなると、先に行われた鉄鋼・アルミの関税引き上げの比ではありません。日本の自動車メーカーは既に米国での現地生産を積極的に行ってはいますが、それでもかなりの規模の車を日本から輸出しています。その台数が大きく減ると、裾野の広い自動車産業は、部品メーカーも含めてかなりの影響を受けると思われます。
ただ輸入車関税引き上げは、米国の国家安全保障上の安全を脅かすということを根拠にしており、この根拠が常識的には無理があろうと思えることから、日本側がそう静観しているとも思えません。今後状況を見ながら徐々に着地点を探るという、これまでに見た通りのトランプ流の外交戦術とも思えますが、今後進展をみていく必要があります。
今週は毎月恒例の雇用統計が発表されます。非農業部門雇用者数は、前月よりも増加の19万人と予想されています。失業率は前月と同じ3.9%と予想されています。今回も注目は平均時給です。雇用が順調に伸び、経済成長も順調に拡大していますが、賃金の伸びは鈍化しており、今後もこの傾向が続くようなら、FRBの利上げ回数にも影響を与える可能性があります。既に6月の利上げは確実と見られています。そのため、注目されるのは、その際の声明文の内容ということになります。今週末の雇用統計の結果が、その声明文の内容にも影響を与えるため、このところ発表後も大かな動きにはなっていない雇用統計ですが、気を抜かずに臨みたいところです。
111円台半ばまで順調に上昇したドル円は先週109円割れまで反落しました。現時点では「本格的な調整局面」だと認識していますが、これがどこまで続くのか今週の動きで、ある程度予想できるかもしれません。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
