ドル円は先週110円台前半まで上昇したものの、110円台は維持できずにやや押し戻されて越週しましたが、比較的堅調な動きだったといえます。もっとも、ユーロはさらに堅調な動きを見せ、その前の週に1.15割れ目前まで売られたユーロドルは1.18台半ばまで急反発しました。
景気の鈍化が鮮明となり、イタリアなど南欧の政治的リスクが高まったことで、債券購入プログラムの終了とその先に予想される「利上げ」というスキームが先送りされるとの観測が急速に高まり、ユーロ下落に拍車をかけたことが背景でした。ところが先週、ECBのプラート理事が「資産買い入れプログラムの終了について、次回の理事会で議論する必要がある」と、発言したことで再び量的緩和終了の可能性が浮上。ユーロの買い戻しを誘い、ユーロ高が進みました。
今週14日にはその理事会が開かれ、投資家はその行方に注目しています。上記発言はプラート理事だけではなく、ドイツ連銀総裁やオランダ中銀総裁も同様な発言を行ったことで、ユーロ買いが加速しました。ただ、ドラギ総裁の真意はまだ不透明です。もともと、ドイツ連銀総裁などは量的緩和の終了には積極的で、ドラギ総裁とはスタンスを異にして来ました。加えて、ドラギ総裁はポピュリスト政党の台頭で混乱が続いているイタリア出身です。ここはドラギ総裁の記者会見での発言を含めて、慎重にECB理事会の結果を見極める必要があります。
また、その前日にはFOMCがあり、ここでの今年2回目の利上げはほぼ確実と見られています。問題は、その後のパウエルFRB議長の発言ですが、こちらも取りわけ、今後の利上げペースを早めるような発言がなされるとは思えず、ニュートラルな内容を予想しています。前回5月のFOMC声明文でも、今後の利上げは急がない旨の文言もあり、今後インフレ指標が急速に高まらない限り、緩やかな利上げペースは維持されると思われます。
明日には注目の米朝首脳会談が行われます。両首脳は既にシンガポール入りを済ませ、あとは会談を待つのみです。トランプ大統領は「会談1分で、相手が本気で非核化を考えているかどうかを判断できる」と豪語していますが、両首脳とも会談前のコメントでは柔軟な姿勢を見せていることから、会談からはドル売り材料は出にくいかと思います。むしろリクオフが後退して株価が上昇すれば、そこに反応してドルが買われる可能性があるかもしれません。注目したいと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
