ドル円は3月26日の104円台半ばを底値に順調に切り上げ、先週には110円台後半までドル高が進んでいます。上昇のスピードは早くはないものの、緩やかに、着実にドルが買われました。「週足」チャートを見てもこの間、陰線は3本しかなく、残りは全て陽線です。つまり、その週の始まりよりも、週末のレートがドル高で終わっていることを示しており、ドルが緩やに上昇していることを物語っています。
先週は、「米朝首脳会談」に「FOMC」、「ECB理事会」、そして「日銀政策会合」と、重要イベントが目白押しでした。そして「日銀政策会合」以外は全て為替に影響を与え、特に「ECB理事会」は筆者にとってはサプライズであって、市場関係者も為替の動きには驚いたと思われます。量的緩和を年内で終了することを決めたものの、利上げは早くとも来年夏以降ということになり、早期利上げを見込んでいた投資家を失望させました。
今週は先週の反動もあり、イベントとしては注目すべきものは多くありません。従って、ドル円も、ユーロドルも大きな動きは期待できません。ただトルコリラだけは要注意です。24日(日)にトルコでは、大統領選と議会選挙があります。ここ2週間ほどのリラ円の動きには、目を見張るものがあります。エルドアン大統領の独裁によって、22円台前半まで売られ、歴史的な安値を記録したリラ円はその後トルコ中銀の利上げで24円台半ばを超えましたが、選挙が近付くに連れて再び軟調な動きになってきました。
大統領選でエルドアン氏が勝利すれば、さらに大統領への権力が集中し、トルコ中銀も動きにくくなり、今後インフレがさらに進んだ場合でも、簡単には利上げに踏み切れないとの観測があり、トルコリラがもう一段下げる可能性があります。ただ、事前の予想ではエルドアン氏が圧勝するとも思えず、過半数を取る候補者がいなかった場合には、上位2名による「決戦投票」が7月8日に行われることになります。現時点ではその可能性が最も高く、その場合には野党の結束力が勝敗を左右することになります。
トルコではインフレが加速しており、収まる気配がありません。直近5月のインフレ率も12.5%で、利上げを行っても通貨安が進んでおり、これがインフレ率の低下を阻止している状況です。トルコ中銀は今月7日の政策会合で、市場予想を超える利上げを行い「中銀の独立性」を市場に示した形でしたが、仮にエルドアン氏が再選されても、同中銀が独立性を保たれるのかどうかも、今後の相場を予想する上で重要な要素の一つになります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
