先週のドル円は110円を挟む展開で、依然として方向感のない動きでした。週後半には110円75銭近辺までドルが買われたものの、111円テストには至っていません。一方ユーロドルも重要な節目の1.15を目指しましたが、1.1508までユーロ安が進んだものの、1.15は抜け切れず押し戻されています。
米中の貿易問題がますますエスカレートしただけではなく、米国の保護貿易に対抗する「報復関税」を発動する動きが高まってきました。EUは先週22日に既に米国製品に対する関税25%引き上げを発動しています。また、それに対してトランプ大統領は、EUからの輸入車全てに対して20%の関税をかけることに言及するなど、貿易問題の激化は留まるところをしりません。トランプ政権は「保護貿易」、「公正な貿易」を旗印に通商政策では中国、EUを既に敵に回したことになり、その矛先はカナダやメキシコにも及びそうです。
110円を中心に上にも下にも抜けきれない相場が続いていますが、週明けの月曜日は、ややドル安が進み、昼までに109円台半ばを割り込む場面もありました。この水準は今月11日以来2週間ぶりの円高水準になります。米金利の先高感にサポートされているドルが急激に円高が進む可能性は低いとは思いますが、一方でトランプ大統領が通商問題で大きく譲歩してくるとも思えません。対中国への関税引き上げは7月6日とされています。発動まであと2週間しかありませんが、この間に水面下での交渉は行われるものと思われます。このまま何の変更もなく7月6日を迎えるようだと、その先に、日本の自動車も関税引き上げの対象になることが無いとも言えません。
今週は週末に5月のPECデフレータが発表されます。既に先月を2ポイント上回る、2.2%と予想されており、コアデフレータについても、先月の1.8%を上回る、1.9%と予想されています。もしこの通りの結果になると、FRBが目標とする2%の物価上昇率を上回ることになり、今月のFOMCで年内の利上げ回数を3回から4回に上方修正したFOMCの予測が、正当化されることになります。
今のところ、この利上げ観測がドルの下落を抑制していますが、今週はどちらかと言えばドルの下値がどこまであるのかを探る展開を想定しています。結局は、トランプ大統領の通商政策の行方だけが読みにくく、不透明です。この政策の落ち着き所が、ドル円の落ち着き所とも関係してきます。政策の行方を注視したいと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
