トランプ大統領は、「トランプ流外交政策」をさらに進め、昨日はロシアのプーチン大統領と約1年ぶりの首脳会談に臨みました。あえてこのタイミングでプーチン大統領との会談に臨むトランプ氏は、貿易問題でEUとの関係が急速に冷え込んできたことで、もともとEUとの関係がよくないロシアに接近することで、EUをけん制する狙いがあるようです。
一方ロシアにとっては米国がEUと不仲になることは「願ってもないこと」であり、総体的に
ロシアの立場が優位になることにつながります。特段両国で緊急に解決すべき問題が浮上したわけでもなく、両首脳の会見も笑顔のない、冷たい表情は最後まで変わりませんでした。マスコミの論調も「成果の無い会談」という見出しを掲げており、「米ロ接近で、不安増す世界」との見方が主流のようです。結局は、オバマ前大統領時代の枠組みを、全て覆そうとしているとしか思えません。同時に、それは全て11月の中間選挙を意識したものと思えます。
米国は、中国を始め、カナダ、EUと本気で貿易戦争をする気でいるようです。先週末に6月の中国貿易収支が発表されました。予想されてはいましたが、米国が中国製品に対する輸入関税を大幅に引き上げることが見込まれていたため、その前に輸出しようとする「駆け込み輸出」が急増し、貿易黒字額は約416億ドル(約4兆6800億円)と、前月比71.7%もの増加でした。この反動が7月の貿易収支には表れてくるものと思われますが、今度は貿易黒字額の急減、ひいては中国のGDPの鈍化という形で出てくる可能性があります。これまでは中国の成長率が鈍化すると、円が買われた経緯があり、この先円高とい形でドル円に影響が出てくることも想定されます。
ただ現実はそうではありません。連休明けの17日のマーケットは、IMFが世界経済見通しでも指摘したように、引き続き楽観的な動きを見せています。ドル円は112円台前半から半ばで推移し、大きな動きはないものの112円台を固めている気配もあります。また、日経平均株価は先週末比200円を超える上昇を示し、上昇傾向を維持しています。この状況は、どこから見ても「リスクオン」にしか見えません。
今週は、本日から始まるパウエルFRB議長の議会証言が焦点になります。議長は、先週メディアとのインタビューで、米景気に関しては「非常に良好だ」と述べる一方、貿易摩擦については、高関税の時期が長期化するなら、「マイナスとなる恐れがある」と、警戒感も見せています。(ブルームバーグ)本日からの証言で、この辺りをどのように自身に発言に織り交ぜていくのかが注目されます。本日の上院での証言は、日本時間23時から始まります。このような状況の中、今週はドル円がどこまで上昇できるのかを確認することになると思われます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
