先週のドル円は週末近くまでは順調に上昇し、113円18銭までドル高が進んだものの、トランプ大統領が金融当局の利上げに不満を示したことや、中国とEUが通貨操作を行っている、さらには、中国に対する追加関税5000億ドル(約55兆5000億円)相当の引き上げの「用意がある」とツイートしたことで、週明けのドル円は大幅に下げ、110円75銭前後まで円高が進んで来ました。
加えて、来週30、31日の日銀金融政策決定会合では、2%物価上昇目標の見直しや、マイナス金利政策の見直しを発表するのではないかとの新聞報道で、日本の長期金利が上昇し、23日の午前中には日銀が5カ月ぶりとなる、「指し値オペ」を実施しました。日銀が現行の低金利政策の見直しを行えば、日米金利差が縮小し、円高に振れる可能性が高いことから、トランプ大統領の度重なる「口先介入」もあり、ドルの上値が徐々に重くなってきた印象です。
米中の貿易戦争がエスカレートし、中国だけではなく、EUやカナダなども米国に対し報複関税を発動し、米国包囲網が出来つつある中でもドル円は上昇し、株価も堅調な動きを見せました。毎朝配信する「アナリストレポート」でも、「楽観的すぎるのでは」とのコメントを何度か書きましたが、トランプ氏が「ドル高や金利高」を望まないのは明らかで、いつかは今回のような発言があるのではないかと思っていました。113円台前半まで押し目のないまま順調に上昇したドル円ですが、今後はやや意識を変えざるを得ないでしょう。まだドルの上昇局面が終わったとは判断できませんが、今週の動き次第では見方を変える必要も出て来るかもしれません。
今週は25日にワシントンでトランプ大統領とEU首脳との会談が予定されています。貿易問題が主な議題だと思いますが、先週のG20会合でも、フランスを始め米国に対するEU側の対応は厳しく、妥協点を見出すのは困難かと思われます。一方、トランプ大統領の保護主義も益々エスカレートしてきており、治まる気配はありません。11月の中間選挙が近付くにつれ、さらにエスカレートすることさえ考えられます。中国に対する5000億ドル相当の追加関税引き上げも「用意がある」と発言したことなどがいい例かと思います。
週明けの月曜日に見られたように、これまで比較的揺るかな動きをしていたドル円は、今週からは神経質で、値動きの荒い動きになると予想します。さらにその動きは「底値を探る動き」になると思われますが、チャートでは110円から110円20銭辺りが重要なサポートと見られ、今週はここが維持できるのかどうかが焦点です。そのため、上記貿易問題だけではなく、トランプ氏のツイートや日銀の金融政策に関するニュースにも注意を払う必要があります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
