先週からにわかに拡大した「日銀金融政策の修正観測」ですが、今週はいよいよそれが事実だったのかあるいは単なる憶測に終わるのかが判明します。今週は、日銀の金融決定会合だけではなく、FOMCやイギリスでも金融政策会合があり、さらに週末には毎月恒例の米雇用統計も発表される「スーパーウィーク」とも言えます。それぞれのイベントの結果次第では、大きく相場が動く可能性はあります。
日銀の金融変更や修正の噂は、今度が初めてではありません。思い出すのが、マイナス金利を導入し、現行の「長短金利操作つき、量的・質的金融緩和政策」を正式に採用し、その後「マイナス金利が金融機関の経営に悪影響を与えている」との質問に対して、黒田日銀総裁は「金融機関のために、金融政策を行っているのではない」と、言下に言い切り、2%の物価上昇達成のために行っていることを明言したことがあります。
確かにその通りだとは思いますが、状況はさらに悪化しているようで、一方で2%の物価上昇は未達のままです。今回、一部新聞や通信社が報じた「金融政策の修正」は、大幅な変更ではなく、ETFの購入配分を「日経225」から「トピックス」連動に変更するのではとか、物価目標を下方修正するのでは、といった予測でした。個人的には基本的な枠組は維持しながらも、低金利による副作用については丁寧に説明していくものと予想しており、「無風」はないものと思います。やはり、「火のないところに、煙はたたない」ということでしょう。
本日の「アナリストレポート」でも触れましたが、今回の決定会合を経て大幅な円高は想定しにくいと考えております。今後ドル安円高が進むとすれば、むしろ米国の景気そのものの後退が主因になるのではないかと思います。その引き金を引くのが、トランンプ政権の行き過ぎた保護主義です。先週は対EUとの首脳会合では、これ以上米欧の関係悪化は避けられたものの、自動車などの関税については「棚上げ」でした。
中国製品に対する2000億ドル(約22兆2000億円)の関税引き上げについても公聴会が行われ、関係各国の代表や業界からの意見を求めましたが、概ね反対意見が多かったようですが、これもトランプ大統領の「鶴の一声」で決まってしまうリスクもあります。米景気は先週末に発表された第2四半期GDPが4.1%であったことを見ても、足元では極めて好調なことは理解できます。トランプ大統領はわざわざ記者会見を行い「4.1%という素晴らしい数字で成長した」と、米景気の良さを力説しましたが、エコノミストの間では、この辺りが「ピークでは」といった見方が多いのも事実です。この成長にブレイキをかけるものがあるとすれば、それは正に「トランプ政権が目指す保護主義政策そのものと言えるでしょう。今週の経済紙は、4年ぶりの高成長を伝えながらも、「米、<天井説>つきの高成長」といった見出しを付記するのを忘れてはいませんでした。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
