ドル円は先週後半、トルコ中銀が予想を上回る利上げに踏み切ったことや、日米の株価、とりわけ出遅れ感が強まっていた日経平均株価が連日大幅高を演じ、節目の「2万3000円の壁」を超えたことで、「リスクオン」の流れが強まり、112円台までドルが買われました。その後、ドル円は112円台前半を何度か試しましたが、米中貿易戦争の悪化が懸念され、押し戻されて来ました。
その追加関税第3弾が週明けの本日発表されました。2000億ドル(約22兆円)の発動は、1週間後の24日と発表されましたが、関税率は当初の25%ではなく、10%でした。さらに、ブルームバーグによると、「スマートウオッチ」など、ハイテク製品を含む300品目が対象外になった模様です。ただ税率については、来年には同税率を2倍に引き上げることも発表しています。
ドル円はこの報道を受け、朝方には111円66銭前後まで売られました。112円台に乗せた以降、ドルの下落は111円75銭近辺でサポートされてきましたが、この水準を下抜けたことで、111円近辺までドル安が進むとイメージしていましたが、週明けの日本株が大幅高を見せたことで、ドル円もこれに引っ張られる形で112円まで反発しています。税率が当初予定された25%ではなく、10%だったことで、米中貿易戦争がこれ以上エスカレートしないのではという見方から株価は上昇しましたが、これも見方を変えれば、「2万3000円の壁」を抜けたことで、海外からも日本株への注文が入った面が大きいと思われます。
それにしても、ドル円の下値が底堅いことにはやや驚きます。確かに、今回の追加関税が発動されれば、これで3回目となり、市場は「貿易戦争」に慣らされたとも言えますが、今回はこれまでの規模の4倍です。米中だけではなく、日本も含めた欧州の国々にも、ジワジワと影響が出てくることは避けられないと見られます。
今週は20日に自民党総裁選が行われます。安倍現首相の3選は動かないところでしょうが、そうなれば、首相の所信表明では、再び「アベノミクス」が声高々に唱えられ、景気刺激策の発表などもないとは言えません。週明け株価の上昇は、その辺りも先取りしているのかもしれません。今後は中国側の出方が注目されますが、余程厳しい対抗措置でも出ないかぎり、ドル円も下げたところを買うスタンスでしょうか。足元の動きは、勢いはありませんが、「ドル高傾向」と見られます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
