先週この欄で、「ドル円は緩やかですが、確実に上昇している」という文言を使って、緩やかなドル高トレンドが続いていると書きました。ドル円は先週後半のNY市場で、113円71銭までドル高が進み、年初来高値であった113円38銭を更新しました。週明けの東京市場でも113円97銭前後までドルが買われ、114円台乗せも確実に視野に入ってきました。材料は言うまでもなく、米景気に裏づけされた長期金利の上昇と、好調な日米の株価が投資家のリスク許容度を高めていることが背景です。
特に日本株については、先週2万4100円台を回復し、バブル崩壊後の最高値を更新し、週明けの月曜日もさらに上昇が続いています。株式の専門家に言わせると、これまで売り込んでいた外国人投資家が、買いに回ってきたとのことのようです。日本株の上昇は機関投資家のリスク許容度を高め、ドル円でもさらにリスクを取ることができることを意味します。
すでに昨年12月以来のドル高を示現したドル円は、どこまで高値があるのかが焦点になってきました。ヘッジファンド等が利用すると言われる、シカゴIMMでの建て玉を見ると、直近建て玉はさらに円売りが増えており、84,719枚です。この円売り枚数は、先々週から約2万枚も増えており、今年最も多い枚数です。彼らも再びドル高にシフトしてきたことが伺えます。ただそれでも、週明け月曜日の動きを見てもわかるように、ドルの上昇スピードは極めて緩やかです。従って、仮に115円をつけるにしても、値幅の割には時間がかかり、意外に「遠い」ということになろうかと思います。
今週火曜日には安倍改造内閣が組閣されます。すでに多くの側近が留任を決めており新鮮味には欠けますが、注目は経済対策で、どのようなものが出てくるのかという点です。1年後には消費税が10%に引き上げられる予定です。消費税が5%から現行の8%に引き上げられた後は、相当な反動が見られたこともあり、安倍改造内閣では同じ轍を踏まないためにも大胆な「財政出動」を行ってくる可能性があります。株高、ドル高に振れやすい材料かと思います。
私も含めて、このところドルに対する強気の見方が増えてきました。ここは慎重に対応すべき所だと思いますが、ドル売りポジションがなかなか機能しない状況です。ここはドルが下げたところを拾うスタンスで、あまり深追いするのは避けたいと思います。このまま年末に向かってドルが上昇を続けることは考えにくく、「トランプリスク」があることを頭の片隅には入れておくべきでしょう。今週末には毎月恒例の雇用統計が発表されます。非農業部門雇用者数は、18.5万人の増加と、先月よりも減少が予想されていますが、このところの雇用統計後の動きに見られるように、多少増減してもほとんど相場に影響がありません。焦点は先月のように、平均賃金がどの程度増加しているかです。予想は、先月より若干緩めの「2.8%」(前年比)と予想されています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
