ドル円は先週114円55銭までドル高が進み、年初来高値を更新しました。日米で株高が進み、投資家が一段とリスクを取りやすくなったことで低金利の円が売られ、昨年11月以来となる円安水準を記録しました。週明けの月曜日にはやや修正の動きが見られましたが、円はドルだけではなく主要通貨に対しても売られ、「ドル独歩高・円独歩安」の様相となっています。
この動きは、シカゴ通貨先物市場の「建て玉」を見ても明らかで、先週末に発表された円の売り持ち枚数は「11.4万枚」と、その前の週からさらに増えていました。「13.6万枚」と、4年ぶりの高水準を記録した昨年11月の枚数には及びませんが、投機筋もドル高円安が進むと予想し、ドルの買い持ちを増やしたことが分かります。ただ円相場の方は、必ずも彼らの思惑通りには動いておらず、先週木曜日の114円55銭を高値に112円台後半までドル安が進んできました。もっとも、このポジションは10月2日(火)時点のもので、その後枚数が減っている可能性はあります。
ドル円は直近高値から1円80銭程度円高方向に振れていますが、これは米国株が高値をつけた後やや「調整色」を見せてきたことが理由だろうと思われます。米長期金利が先週末には3.24%まで上昇したにもかかわらず、ドル円が売られたことが、その証左であろうと思います。米金利高は、基本的にはドル高要因と見られるからです。したがって、この先も米金利がドルをサポートする展開が予想され、「ドル高トレンド」は、現時点は変わっていないと考えています。テクニカルでも、トレンドの変化を示唆する「日足」では、調整色は見られるものの、依然としてドル高傾向を示しています。
ただ、以前にも毎朝のレポートで指摘したように、今年の2月の円高のきっかけが、長期金利の急上昇にあったことは、頭の片隅に入れておくべきでしょう。好調な米経済を背景に株価は連日最高値を更新していましたが、そこに金利上昇が急ブレイキをかけました。株価の急落を手がかりに、ドル円は109円台から105円台まで円高が進み、NYダウはこの時に記録した高値から下げ続け、再度最高値を更新したのが先週のことで、実に8カ月もかかっています。
米国が仕掛けた貿易戦争を受け、米中関係はこれまでになく悪化しています。中国を訪れたポンペオ国務長官は、6月の訪中時とは異なり、習金平主席との会談の席が設けられなかっただけでなく、会談した王外相とは辛らつな言葉のやりと取りに終始し、両国関係の厳しさを表していました。今後、南シナ海などの緊張もあり、円高要因になる可能性も出てきました。ドルの下値は限定的とは見ていますが、ドルの戻りには慎重になりたいと思います。
今週末から大手銀行を皮切りに、米企業の四半期決算が発表されます。トムソンロイターの調べによると、米主要500社の決算は二桁の増収増益は見込まれており、株価の上昇要因になりやすいと見られます。引き続き株価の行方にドル円も反応しやすく、こちらにも注意が必要です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
