株価主導の相場展開が続いているドル円ですが、先週は週初に株価が大きく反発し、ドル円も112円73銭まで上昇しました。週後半にはNY株が再び大幅な下落を見せ、111円台に沈む場面もありましたが、おおむね112円台での取引に終始しました。株価の値幅の割には、依然として動きの少ないドル円です。現時点では111円台半ば〜113円のレンジ相場と割り切り、「逆張り」も効果がありそうですが、レンジを外れた場合の注意は、言うまでもなく、しっかり対策をしておくことが必要です。
NY発世界同時株安の嵐が過ぎ去ったのかどうかが、今後の為替を見る上では最も重要ですが、週明けの日本株は、朝方に200円以上下げた日経平均が、午後にはプラスに転じ、本稿執筆時には100円ほど上昇しています。先週に比べ、嵐の強度はやや低下した感じもしますが、まだ警戒モードを解くわけにはいきません。引き続き、米国株の動きには注視する必要があります。
何かと話題の尽きないトランプ大統領ですが、11月6日に「中間選挙」を控えて、大統領は中間所得層向けの「大規模減税」を検討していると、ブルームバーグは伝えています。早ければ、中間選挙が行われる数日前に発表される可能性があるようです。減税案の詳細についてはまだ明らかにされてはいませんが、実施されれば、2017年の減税改革に次ぐ措置となり、中間選挙で共和党が議会での過半数獲得を確実にできるとの期待が広がっています。
世界景気を見渡せば、「米国の一人勝ち」が続いていますが、長い間続いてきた低金利に加え、2017年末に実施した「大型減税」と「法人税減税」が良好な米景気をさらに押し上げたとの見方は、衆目の一致するところです。米景気の拡大が長期金利の上昇要因でしたが同時に、減税の財源である国債の増発も金利を押し上げたことは明白です。「大判ぶるまい」を行った結果、米国の今年の財政収支は急速に悪化しています。先日発表された2018年度(2017/10−2018/9)の財政赤字額は7790億ドル(約87兆6000億円)と、2012年以降で最悪の状況でした。
上述のように、さらに大型減税を実施するとすれば、財政赤字は一段と増え、2020年には1兆ドルに達するという試算もあります。これはさらに多くの国債を発行するという意味で、国債の増発→国債価格下落→金利上昇という状況が想定され、こちらも金利の上昇要因になります。
さらに言えば、トランプ政権は既に中国からに輸入品2500億ドル相当に対して関税を引き上げています。これは、いずれ消費者物価上昇という形で国民の負担が増加させ、FRBの利上げを後押しすることにもなります。このように、今後も米金利上昇につながる材料に事欠きません。株式市場ががある程度安定するのであれば、ドルが緩やかに上昇すると予想することにそれほど違和感はないと思われます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
