米中貿易問題を巡ぐるトランプ大統領の言動で、株価が乱高下し、それに伴って、株式市場ほどではないにしても、ドル円も上下する展開が続いています。米中貿易問題に関する合意も、側近のクドロー国家経済会議(NEC)委員長が否定したにもかかわらず、大統領自身は楽観的な見方を示し株価の大幅下落を抑えていますが、6日の中間選挙を前にした「リップサービス」との見方もあります。中間選挙の行方と同じように、米中貿易戦争も現時点が最悪で、今後は改善していくのかどうか蓋を開けてみる(今月行われるG20での首脳会談)までは分かりません。
その中間選挙ですが、いよいよ明日に迫ってきました。民主党有利との予測が続いていましたが、ここにきて共和党の猛追が目立ってきています。ブルームバーグによると、民主党のリードはここ数週間で縮まっており、勝利確実とは言い切れないと伝えています。66の激戦区を対象に調査をした結果、誤差はプラスマイナス13議席と大きく、民主党の大勝もあり得るが、共和党の過半数議席維持の可能性も排除できないと報じています。
今回の選挙で上院下院ともに民主党が過半数を獲得するというシナリオもありますが、それはきわめて低い確率だとすれば、共和党が両院で過半数を獲得し現状維持を決めるか、さもなければ市場のコンセンサスに近い、上院はこれまでどおり共和党で、下院で民主党が過半数を奪回するというシナリオです。共和党が下院で負けるとすれば、市場はドル安と株安で反応すると予想されますが、逆に言えば、これは既に市場の一部が想定していることで、仮にそのような結果になっても、影響は軽微かもしれません。そのような想定に立てば、ドルが売られてもその深さはある程度限定され、反対にドル上昇の高さは予想以上に大きいのかもしれません。
今週も引き続き米国の株式市場と債券市場からは目が離せませんが、週明けの東京市場では、株価が一時300円以上も下落しましたが、ドル円は113円台をキープしています。米長期金利が先月中旬以来となる3.1%台に乗せ、この金利上昇がドルを支えている側面もありますが、ドル円が株価の下落に対する「耐性」を強めてきたからと言えなくもありません。113円台半ばに近づくようなら、ドル売り需要も相当あろうかと思いますが、それでもしっかりと113円台半ばを超えていくようなら、面白い相場展開になるかもしれません。
先週の記事に、「日本の生保各社は、為替リスクを伴う外債投資を強める」というヘッドラインがブルームバーグに掲載されました。拡大する日米金利差に着目して、大手生保は今年度下期(10月ー2019年3月)には、為替リスクを回避するヘッジをかけない外債投資を増やす計画だという内容です。為替ヘッジを行なわない理由には、単純に金利差の拡大ということもありますが、ヘッジコストが、高騰していることも挙げていました。もともと、ヘッジコストは日米金利差に近いものですが、市場でのドル不足が続いており、ドルの調達コストも上昇してことが影響しています。今後長い目で見た場合、コスト高がじわじわとドル高に影響することも考えられます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
