今年も残りあと1カ月余りとなり、現時点での市場の関心は、今週末から来月にかけて行われる「米中首脳会談」と、12月のFOMCを残すのみとなりました。その他にも小さなイベントはあるかもしれませんが、重要なイベントはこの2つで、とりわけ「米中首脳会談」で貿易戦争のこれ以上のエスカレートに歯止めがかかるかどうかが注目されます。
米中は事務レベルでは水面下で合意に向けた努力がなされているようですが、この欄でも何度か述べているように、それは結局は中国側がどこまで米国を納得させる案を提案できるかどうかにかかっており、言い換えれば、中国側がどこまで妥協できるのかどうかという一点にかかっていると言えます。中国は今月16日に米国に対して、対処する用意のある142項目のリストを送っていますが、トランプ大統領は一定の評価はしたものの、「まだ受け入れられるものではない」とのコメントを発表しています。ただ同時に「米中首脳会談」については「私は楽観的だ」とも述べています。
米国では、貿易戦争の影響や、長期金利の上昇を背景に、10月初めまで順調に上昇してきた株価が大きく下落に転じています。先週末のNYダウは、今年の上昇分をすべて吐き出しています。仮に、「米中首脳会談」で決裂となると、株価がさらに下げ「逆資産効果」の影響も懸念されます。株価の水準に関心のあるトランプ大統領としても、これ以上の下落は望んでいないと思われ、会談では柔軟な姿勢を見せる可能性も、多少はあると考えています。
ドル円は週明け月曜日の東京市場で113円29銭まで上昇する場面がありました。今夜のNY市場で株価が反発すれば、113円台半ばから後半を試す場面もあるのではないかと予想しています。先週、ドル円は下値を試したものの、112円30銭で底を打ち反転してきました。上値は重いものの、底値も110円を目指すような展開でもなさそうです。ユーロドルが再び1.13割れを試しそうな状況の中、ドル高傾向はまだ終わっていないと思われます。もちろん上記「米中貿易戦争」の行方次第というところもありますが、114円台回復もあるのではないかと予想しています。
今週はウィリアムズNY連銀総裁など、FOMCの中心的メンバーの講演も多くあります。市場のコンセンサスであった、12月利上げ、2019年3回、2020年1回という利上げ見通しにやや変化が出てきました。クラリダFRB副議長など、今後の利上げに慎重な姿勢を見せるメンバーがやや増えてきました。貿易戦争や金利上昇の影響から景気の鈍化が予想され、利上げにも慎重になる必要があるという意見です。今週講演予定のメンバーがどのような見方を示すのか、こちらにも注意したいと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
