先週は米長期金利が下げ止まり反転してきたことや、日米の株価が上昇したことを手がかりに、ドル円は113円71銭まで買われる場面がありました。週末には再び株価が大きく下落したことでやや円高方向に振れましたが、堅調に推移していると言えます。もっとも、円に特別な売り材料があったわけではなく、上昇分の多くはポンド安に引っ張られた格好でした。
英国では、EUからの離脱案を巡って議会が紛糾し、先週はメイ首相に対する不信任案が提出され、幸い否決されたことで最悪の事態は避けられましたが、政治的混迷は続いています。英国議会の混迷を受けてポンドドルは先週、1.27台後半から1.24台半ばまで急落しました。さらに英国ではブレア元首相などが、「二度目の国民投票」をやるべきだと主張しており、メイ首相はこれを激しく非難しています。また先週末に開催されたEU首脳会議でメイ首相は、独仏首脳を含む4人の首脳との非公式な会談を行い、アイルランド国境へのハードボーダー(物理的壁)設置の回避を保証する「バックストップ」条項について、EU側がさらなる保証を与えない限り、英国とEUが1年半続けてきた離脱交渉は終わりを迎えるだろうと4人に警告したようです。(ブルームバーグ)このように、EUからの離脱を巡る問題では、与党内でも意見が真っ二つに分かれており、「合意なき離脱」の可能性が否定できない状況が続いています。
ドルに対して大きく下落しているのはポンドだけではありません。ユーロも対ドルで再び節目の1.13を割り込み、先週末のNY市場では1.1270までユーロ安が進みました。動きの少ないドル円ですが、このような欧州通貨の下落につれ安する格好で、円高には振れにくい状況になっています。本来なら先週末のように、株価が大きく下落した場合には「リスクオフ」から円が買われる傾向がありますが、欧州通貨安が円の上昇を抑える動きが続いており、ドル円は先週ほぼ113円台での推移になっています。今週も引き続き欧州通貨の動きには注意が必要かと思います。
今週は、今年最後のビッグイベントであるFOMCが18−19日に開催されます。ここで今年4回目となる利上げが決められると予想していますが、足元では急速にハト派的な見方が台頭しており、利上げ見送りを予想する向きもあるようです。利上げ実施の見方が優勢となっているため、万が一利上げが見送られた場合には急激な円高に振れる可能性も、ないとは思いますが、頭の片隅には入れておくべきでしょう。利上げが実施された場合でも、FOMCメンバーが予測する「ドットチャート」と、パウエル議長の会見内容には注意が必要です。これまで、来年は3回と見られていた利上げ回数の下方修正は必至です。これが2回になるのか、1回になるのか、あるいは来年は利上げゼロになるのか、2019年の相場を予想する上でも重要です。現時点でのメインシナリオは、今週1回利上げを行い、2019年には2回利上げというものです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
