ドル円は年明け3日早朝の急落から1週間を経て落ち着きを取り戻しています。104円台から急落前の109円台まで反発し、下落分を埋めた格好になっています。この間、パウエル議長による「利上げ停止」を示唆する発言や、米中通商会議では、重要課題の解決には至りませんでしたが、中国が米国からエネルギーや農産物を総額1兆3000億ドル(約141兆円)規模で輸入することで合意しました。これらを受けて、米国株は急反発し、一時は「36」程度まで上昇した「VIX指数」も安全圏の「20」を下回る水準まで低下しています。
年初の104円台は「異常値」だったとしても、まだドル円の上値は重い展開を予想しています。基本的なレンジは107−110円程度と予想しますが、110円台回復にはまだ時間が必要で、ドル高材料が不可欠ですが、周りを見渡しても簡単には列挙できません。一方ドル安材料は、足元で継続されている米政府機関一部閉鎖や、米中通商問題の不透明さが挙げられ、再びドルが105円方向に向かう可能性もないとは言えません。
ただ米中通商問題では中国側が相当な譲歩をして来ることも無いとは言えません。昨日発表された中国の12月の貿易収支は輸出入ともに市場予想を下回り、輸出は前年同月比4.4%の減少で、輸入は7.6%減と、2016年以来の大幅な落ち込みとなっています。昨年からの「関税引き上げ合戦」の影響がそのまま数字に表れた形です。中国の景気鈍化はすでに明らかですが、米国との合意が見送られた場合には、さらに関税が大幅に引き上げられることになっており、その期限は3月1日です。そのため、トランプ政権との通商対立に終止符を打つ必要があり、中国の交渉担当者が合意点を探る可能性があります。米国と合意に達しない場合でも、少なくとも関税引き上げは避けなければならないことは明らかでしょう。ここに、米中通商協議進展の可能性があるかもしれません。最終的に昨年のブエノスアイレスでの米中トップ会談以来となる、首脳同士の話し合いの場が再現するかもしれません。
今週はこれといって重要なイベントはありませんが、米企業決算が本格的に始まり、今週は主要米銀の決算が発表され、株価に影響を与えることも予想されます。また先週レンジを上抜けし、大きく上昇したユーロドルの動きにも目配りが必要です。ユードルは1.14を挟んでもみ合いが続いていましたが、1.1570まで急反発しました。日足を見ると、1.16台前半に重要な「200日移動平均線」があり、ここを抜けるともう一段の上昇余地が出て来ると見ています。ユーロドルの上昇は「ドル安」を意味し、その場合にはドル円も107円割れを試す可能性が高くなります。ユーロドルがレンジを切り上げ1.15台を定着させるのか、あるいは再び1.14を挟む動きに戻るのか、注目したいと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
