今月3日早朝に104円台まで急落したドル円は、ジリジリと値を戻し、先週末には109円台後半まで上昇し、急落前の水準を完全に回復しました。「あの急落は一体何だったんだろう」との思いが強まっています。先週金融先物業協会が、今回の急落による被害の概要を発表しました。それによると、この日の急落でFX会社が顧客から回収できない未収金が9億3000万円あり、件数では6598件にも上るそうです。この金額は、2011年3月の東日本大震災に次ぐ過去3番目の規模になっています。その被害額と件数の多さには改めて驚かされました。
ご承知のように、ドル円は3日をボトムに先週金曜日のNYでは109円89銭までドルが買われており、元の水準を回復しています。結局ロスカットされて終わり、この動きがなければロスカットされずに済んだ投資家の方も多かったのではないでしょうか。このような動きは1年から2年に一度ほど起きており、株式市場と比べてボラが高いことと、ほぼ24時間起こる可能性があるのが特徴となっています.この動きは予想できません。日ごろから資金管理をしっかりと行い、高レバレッジを避けるしか回避する方法はありません。
ドル円はFRB議長が今年の利上げを停止させる可能性に言及したにもかかわらず、金利高を嫌う株価の方が順調に上昇を見せていることで、債券が売られ、金利上昇に引っ張られる形でドルが上昇している状況です。また足元では最大の懸念材料である米中通商協議に改善の余地が出てきており、これも円売り材料に働いているようです。まだ不透明な部分は多くありますが、どうやら「決裂」といった最悪の事態は避けられる見通しも出てきたようです。
まだまだ円の先高観は消えていません。米景気の鈍化予測も根強く、事実先週末に発表された消費者信頼感指数では、消費者の景気に対する見方がかなり慎重になってきたことを伺わせています。金利が上昇したことで、すでに住宅関連指標には多くの軟調な指標が見られますが、それ以外にもじわりと軟調な指標がみられるようになっています。背景は、やはり米中通商問題に対する警戒感と、すでに中国だけではなく、EUやカナダに対しても引き上げられた関税の影響と見られます。
今週は重要な経済指標はありませんが、注目したいのは明日からスイスで始まる「ダボス会議」です。世界の主要中銀総裁や経済人が集まる会議で、今年はトランプ大統領は出席を取りやめていますが、現時点では安倍首相も出席すると聞いています。米中、あるいは日ソ関係に何か進展があるかもしれません。ドル円は110円台に乗せることができるかどうかが注目されますが、ここからの一段の上昇にはやや材料不足と考えていますが、3日のドルの急落以後、ほぼドルが一本調子で上昇しています。そのため、ドルショートでつかまっている投資家も多いのではないかと思います。そういった投資家のストップロスを巻き込むような展開になると、予想外の上昇もないとは言えませんので、レベルだけで取引することは避けたいところです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
