先週のドル円は堅調に推移し、週後半には110円を付ける場面もあり、110円台を固めることには失敗したものの、その後109円台で推移しており、何かきっかけがあれば、110円台乗せも十分伺える動きを見せています。今月3日のドル急落を見せられドルの先安観が台頭し、これまでのドルの戻り局面ではドルを売っている投資家も多いと見られます。ドルショートが溜まってきてことから、ドルが下がったところでは買い戻しが活発化し、それが市場に悪材料が出ても、なかなか下げない理由の一つになっていると思われます。そのため上値が重いものの、下値もサポートされ、109円台でのもみ合いになっています。
今週は109円台をどちらかに大きく外れる公算が強いでしょう。相場を動かず材料が目白押しだからです。30日(水)には注目の米中通商協議がワシントンで始まります。米中ともに早期の合意を望んでいることは理解できますが、「知的財産権などの重要課題についてはほとんど進展がない」と、先週ロス商務長官は述べています。同日には今年最初のFOMCがあり、パウエル議長の会見が予定されています。今年から年8回全ての会合後に、議長が会見に応じることになりました。これまでの声明文だけとは異なり、議長の言葉を通して直接FRBの政策スタンスを理解できる機会が増えたことになります。
それ以外にも、第4四半期GDP速報値や雇用統計の発表もあります。ただ何といっても最もインパクトがあり、注目されている材料は米中通商協議であることは衆目の一致するところです。しかし問題は結果を予想することが極めて難しいということです。今回直接協議する、米通商代表部(USTR)のライトハイザー氏と中国側の責任者である劉鶴副首相はともに記者団に多くを語らないことから、協議終了後に両氏からのコメントは期待できないと、ブルームバーグは伝えています。
従って、協議でどの程度進展したのかは、公式声明から判断せざるを得ないことになりそうです。さらにある程度の合意があったとししても、その内容を持ち帰り、トランプ大統領と習近平主席に諮る必要があります。両氏がその内容に納得するのかどうかは、まったく予測ができません。
ただ現時点で状況はそれほど悪くはないと思われます。中国側が米国との貿易赤字をゼロにするという提案をしており、米国側もこの内容を歓迎しています。焦点は知的財産権など、重要課題がどこまで掘り下げて合意に向かうのかという点です。その意味では、今週はよくても悪くても相場は動き、109−110円のレンジを抜け切る公算が高いと予想しています。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
