1月30−31日に行われた米中通商協議は、最終日に中国側代表団のトップである劉鶴副首相がホワイトハウスを訪れ、習近平主席の親書をトランプ大統領に手渡して幕を閉じました。中国が米国から農産物輸入を大幅に増やすこと以外に、具体的な合意内容はなかったようですが、今月末にトランプ氏が習近平主席と直接会談を行い、最終手的な「詰め」を行うことが決まり、会談場所も中国海南島ということのようです。トランプ氏は「中国との交渉は非常にうまく行っている」との談話を発表しています。トランプ、習氏ともに、自身の権威を失わずに交渉を合意に持っていきたいため、最後のチャンスに全力をあげる意向のようです。
先週は重要イベントが目白押しでしたが、終わってみればドル円はおおむね108円台半ばから109円台半ばで推移し、109円台が長かった印象です。今週も引き続き、ホワイトハウスからのトランプ氏のつぶやきと、5日(火)に行われる大統領の「一般教書」が焦点になります。「一般教書」は日本時間6日の昼前に行われますが、ここでメキシコ国境の壁建設費用をめぐりどのような演説を行うのかがとりわけ注目されます。
メキシコ国境の壁建設費用が予算案に含まれていなかったことから、トランプ氏が署名を拒否し、政府機関の一部が1カ月以上も閉鎖され混乱しました。現在は一時的閉鎖は解除されていますが、その期限も来週15日(金)です。トランプ氏は建設費用が認められない場合には、再び政府機関の一部閉鎖も辞さないと述べており、非常事態宣言を発動しても、壁建設に固執しています。演説内容次第では、その本気度も汲み取ることができるかもしれません。
ドル円は上へも下へも行く勢いはなく、「ニュートラル」と言える状況です。上記「トランプ・リスク」を考慮すれば、やや下落リスクの方が高いと見ていますが、1月3日のドル急落後は、3週間ほど107円台を示現していません。この間、パウエル議長の「金融政策を見直す用意がある」といった「ハト派寄りの発言」でも108円20銭前後まで売られましたが、元の109円台半ばを回復しています。市場ではドルショートが積みあがってきており、これがドル下落時にはサポートになっていると見られ、個人的にはドルの上値は重いと見ていますが、110円台半ばを超えると、予想外のドル上昇があるかもしれません。その場合には現在の「年内の利上げ回数ゼロ」といった見方が、利上げ回数を模索するような展開になる必要がありそうです。
ユーロドルも1.13以下では買い意欲が強いと見え、常に押し戻される展開が続いています。ただそれでも米中貿易戦争の影響から域内の景気は減速傾向を強めています。ECBによる利上げのタイミングは今秋以降と見られていますが、今後の経済指標次第では来年以降にずれ込む可能性もないとは言えません。そのため、ユーロドルの上値も限定的と予想しています。1.1250〜1.1550が想定レンジで、次のECBの動きまでレンジが続く公算が高いと思われます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
