先週のドル円は上下しながらも、週末までは基本的に109円台での推移に留まり、大きな値動きは見られませんでした。その前の週に相場を動かす重要なイベントが多くあり、そのイベントを通過しても値動きが限定的だったことで、やや膠着観が強まっていました。ところが、週明け月曜日のNY市場では、これまでも何度か試して跳ね返されてきた110円台前半を上抜け、110円台半ばまでドル高が進みました。
ドル円は本稿執筆時でも、110円65銭まで上昇しています。先週まで軟調だった日本株が500円を超える上昇を見せたこともありますが、為替市場で最も取引量が多いユーロドルで、「ドル高ユーロ安」が進んでいることが、大きな理由かと思われます。ユーロ圏の景気減速は鮮明になっており、域内のけん引役であるドイツでも減速傾向は経済指標を見る限り明らかです。先週EUの欧州委員会が2019年のユーロ圏の経済成長率を0.6%も下方修正したことがきっかけとなり、ユーロドルは下げ足を早めています。特にサポートと見られていた1.13を割り込んだことで、市場の見方も「ユ−ロ先安観」が強まっています。
ただユーロドルは、昨年11月中旬にも同じような動きがありました。1.13を割り込み、1.1216前後まで売られたユ−ロドルは「1.1台までの下落は時間の問題」と見られていましたが、そのレベルを底値に1.15台まで反発したのは記憶に新しいところです。今回も、日米欧での比較で言えば、最も景気の減速が大きいと見られるユーロが売られ、減速傾向を見せながらも底堅い景気が続いているドルが買われるのは当然とも言えます。前回と同じような戻りには注意をしながらも、しばらくは、ユーロの戻りを売るスタンスに変わりはないと思われます。
今週は、週末に比較的重要な経済指標発表が集中している他は重要なイベントはありませんが、市場が注目しているのが、15日に期限が来る政府機関の閉鎖問題です。現在の暫定予算の期限が15日であることから、新たに予算が成立しないと再び政府機関の一部が閉鎖される可能性があります。本日の報道によると、米上下両院のメキシコ国境警備予算を巡る交渉担当者は11日夜、再度の政府機関閉鎖回避に向け「原則合意」に達したことを発表しています。
ただブルームバーグは、トランプ大統領の対応は引き続き不透明だとしています。ホワイトハウスは、大統領は予算縮小を受け入れるだろうと示唆しているものの、大統領はこれまで何度も突如、方針を変更してきたことを引き合いに出し、まだ予断できないと伝えています。再度政府機関閉鎖が回避できる可能性が高まってきましたが、もうひとつの米中次官級協議問題の進展とともに、どう転ぶかは「下駄を履くまで」わかりません。ただドル円が110円台半ばを抜けたことで、上昇トレンドへ一歩駒を進めた可能性はあります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
