米中通商協議は、北京についでワシントンでの両国閣僚級協議を経てようやく「合意」の見通しがつきました。トランプ大統領は24日、米中両国が同日終了した貿易協議で「かなりの前進」を遂げたことを受け、中国の習近平国家主席と会うことができるまで、中国製品に対する関税引き上げ回避の交渉期限を延期すると述べました。(ブルームバーグ)
大統領は「米国が中国との貿易協議で知的財産権保護と技術移転、農業、サービス、通貨や他の問題を含めて重要な構造問題でかなり前進した」とツイートし、「こうした非常に生産的な協議の結果、私は3月1日に予定していた米国の関税引き上げを延期する」と表明しました。これで最悪のケースでは3月2日から中国製品2000億ドル(約22兆1000億円)に対して現行の10%から25%への関税引き上げは回避されたものと思われます。また両国首脳のトップ会談は3月下旬に、フロリダにあるトランプ氏の個人的な別荘である「マールアラーゴ」で行うことを検討しているようです。
米中貿易戦争の更なる激化はこれで回避されました。日米の株式市場はこれを好感する形で続伸していますが、為替市場の方は「織り込み済み」という反応で、ほとんど動きがありません。その背景は、FRBの金融政策が「ハト派寄り」であることが想定され、今後利上げが見込みにくいことが一つの理由として考えられます。またトランプ大統領が仕掛けた貿易戦争は、対中国では収束に向かいつつありますが、一方で、対EUやメキシコ、カナダとの関税引き上げ問題は、むしろこれからが過激化しそうです。
特にEUは、トランプ政権がEUからの自動車や部品に対する追加関税を発動した場合、即時に報復関税を実施するとし、すでに米国製品の具体的なメーカー名を挙げています。これに対してトランプ大統領は一向に引き下がる気配はなく、今後「報復合戦」に進む可能性もあります。もちろん、遅れてはいますが、日米貿易物品協議の今後の行方についても、まだ予断を許しません。ドル円が111円台で定着しない背景には、このような貿易戦争へのリスクが意識されている可能性もあります。
今週はFRB関係者の講演などが多く予定されています。とりわけ明日から始まるパウエル議長の議会証言が注目されますが、こちらも、これまでの利上げに対する慎重な姿勢を踏襲するようだと、為替にはほとんど影響がないかもしれません。また、27、28日の米朝首脳時会談では、ネガティブな材料は出にくいと予想されます。あったとしても、緊張緩和につながる内容かと考えます。従って、今週も値動きの少ない週が予想されますが、いつものように、それでも口座資産やポジションの管理を怠るわけにはいきません。市場参加者が安心しきっている時に大きく動けば、さらに動きが増幅されたケースは過去に何度もあります。動かない中でも、臨戦態勢は整えておきたいものです。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
