先週20日のFOMCでは、年内の利上げの中止や、保有資産の縮小を9月で完全に停止するなど、これまでの「金融引き締め政策」をニュートラルに戻すことを、全会一致で決めました。予想以上に「ハト派的」な内容に、市場はドル売りで反応し、ドル円は一時110円30銭まで売られ、約1カ月ぶりの円高水準を記録しました。さらに週末には、ユーロ圏のPMIが6年ぶりの低水準を記録し、米国のそれも予想を下回ったことで、世界的な景気減速懸念が広がり、株価が大きく売られ、長期金利が大きく低下し、 それに伴いドル円は109円75銭まで売られました。
週明けの東京株式市場でも株安の流れが続き、日経平均株価が一時700円を超える大幅な下げに見舞われ、世界同時株価下落のスパイラルに陥りそうな気配です。ドル円は引き続き109円台で推移しています。世界景気の鈍化を反映して、米国だけではなく、主要国の長期金利も低下傾向を見せています。日本の10年債利回りは25日にはマイナス0.096まで低下し、実に2年7カ月ぶりの低水準です。また、ドイツの長期金利もマイナス圏に沈んでいます。
欧州や中国の影響を受けて、「一人勝ち」と言われてきた米国の景気の先行きにも暗雲が立ち込めて来ました。仮にこの3地域で景気後退が進めば、日本もその影響を大きく受けることになります。10月から消費税率が現行の8%から10%に引き上げられる予定です。景気後退の波を受けながら、日本がさらに消費税を引き上がれば、10月以降の景気の落ち込みは想定以上になることも考えられ、政府は可能性は低いとは思ますが、「消費税率の引き上げ延期を」を決断することもないとは言えません。
株式市場の大幅下落や米長期金利が大幅に低下したことを考慮すれば、ドル円はさらに下落してもいい印象です。ドル円が大きく下がらない理由は、上述のように、世界的に金利低下傾向が進んでいることや、景気が減速したとしても、米国の優位性は変わらないといった見方が根強くあるせいかと考えられます。
一方で、米中通協議はヤマバを迎えており、合意に達するとは思いますが、最後まで気を抜くことはできません。また「ロシア疑惑」も再燃してきており、トランプ政権と民主党との対立が深まる可能性も出て来ました。今週は、上記材料に目配りしながら米長期金利の推移に、注意したいところです。今週はどこまでドルが売られるのかを確認することになりそうですが、地区連銀総裁の講演も多く予定されています。先週のFOMCで確認されたように、FOMCメンバーのほとんどは「ハト派」色に路線変更したものと思われます。米景気の先行きに予想外の強気の発言があると、ドルが反発する余地はありそうですが、それでも現時点での上値は限定的だと予想します。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
