ドル円は週明け月曜日にドルが買い戻され、執筆時では約2週間ぶりとなる111円15銭まで上昇しました。先週末のNY市場で株価が大幅に上昇し、米長期金利も反転したことで、ドル高に振れています。米中通商協議は北京での会合を終えて、今週3日からはワシントンで継続されます。北京での会合を終えたムニューシン財務長官は、「会合は建設的だった」と述べており、詳細は不明ですが、中国国営の新華社通信も「新たな進展があった」と報じています。この状況で会合がワシントンに引き継がれると、想定よりも早めにトランプ大統領と習近平国家主席の会談が実現するかもしれません。
米中通商協議の進展に加え、31日に発表された中国の3月製造業PMIも週明けの日本株の上昇を後押しし、ドル高につながっています。3月のPMIは「50.5」で、4カ月ぶりの「50」超えでした。本日発表された3月の財新製造業PMIも「50.8」と、政府発表のPMIと同様な傾向を見せ、中国の景気減速懸念は一旦後退した形です。世界景気に大きな影響のある中国のPMIだけに、今後、同指標の発表に一喜一憂する展開が予想されますが、中国景気の底入れがどの時点で確認されるのかが焦点になります。
今週は本日、ISM製造業景況指数が発表され、週末には毎月恒例の雇用統計があり、足元の米景気の状況を確認する上で、重要な指標が相次ぎます。特に雇用統計では、2月の非農業部門雇用者数が2万人だったことで、かなりのサプライズでした。政府機関の一部閉鎖と天候不順がその原因とされていますが、それでは3月分がどこまで正常に戻っているのか注目されます。因みに3月分は17.5万人と予想されています。
米景気の先行きについては見方が分かれており、それを裏付けるように、経済指標も強弱まちまちです。今後景気が緩やかに鈍化するようであれば、FRBによる利上げは見込めないことになり、ドル円は、現水準から大きく上昇する可能性は低いと予想されますが、これも今後の経済データ次第ということです。
政策金利に関しては、クロドー国家経済会議(NEC)委員長が、ホワイトハウスとしては0.5%の利下げを望んでいることを表明しましたが、一方でFRBのクオールズ理事は「米経済は持続的な成長加速の時期に入ろうとしている可能性がある」として、「さらなる段階的な利上げが必要」との考えを示しています。FRBがホワイトハウスの意向で金融政策を動かすことはないでしょうが、米景気は、例えば米中通商協議が「合意」に達すれば、再び上昇気流に乗ることも十分可能で、経済データを慎重に見極めていくことになります。
先週後半から再び緩やかなドル高が進んでいます。ドル円は底堅く推移してはいますが、一気に112円台を回復してくるとは思えません。ただ、ユーロドルが下値を探る展開になっており、1.12を下抜けし、1.10を試すようだと、112円近辺までドル高が進む可能性も意識しておく必要があろうかと思います。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
